HDDの処分に水はNGです!大切なデータを守るために、正しい処分方法と自分に合った選び方をチェックしましょう。
古くなったHDD(ハードディスク)を捨てたいけれど、「水に浸けておけば中のデータも消えるんじゃない?」そんなふうに思ったことはありませんか?
実はその処分方法、データ漏えいのリスクが残ったままなんです。
HDDの中には、写真・書類・パスワードなど、個人情報の宝庫ともいえるデータが詰まっています。水に浸けただけではそれらを完全に消すことはできず、最悪の場合、第三者に復元されてしまう可能性も…。
そこで本記事では、
✅ なぜ「水での処分」が危険なのか?
✅ 安心・確実なHDDの廃棄方法とは?
をわかりやすく解説します。
安全に、そして確実にHDDを処分したい方は、ぜひ最後までご覧ください。
HDDを処分する際に、「水に浸けてしまえば壊れるだろう」「通電しなければもう使えないはず」と考える方も多いかもしれません。
たしかに一見すると水に濡れたHDDは使用不能に思えますが、実際には非常に危険な方法です。
■ 水で壊れても“データ”は消えない
HDDの中には「プラッタ(磁気ディスク)」と呼ばれる、データを保存する円盤があります。この部分は多少の水濡れやサビでは完全に破損せず、専門の復旧業者であればかなりの確率でデータを読み出すことが可能です。
特に水道水に短時間浸けただけでは、HDDの表面にサビがつく程度で、記録領域が無傷で残ることも多いため注意が必要です。
■ 復元リスクのある“危険な廃棄方法”
近年では、データ復元技術が進歩しており、壊れたHDDや水没HDDからでも、写真・個人情報・仕事上の機密ファイルなどを復元できてしまうケースがあります。そのため、家庭で水に浸けて捨てたつもりでも、回収業者や第三者に中身を見られてしまう可能性はゼロではありません。
とくに以下のようなデータが残っていた場合、悪用されるリスクが高くなります:
■ 環境面のデメリットも見逃せない
さらに問題なのは、HDDを水に浸けた状態で処分すると、リサイクル処理が難しくなる点です。水分が内部に残っていると、破砕・分解時に他の金属部品と反応して事故の原因になることがあります。
また、HDDの多くにはレアメタルや有害物質(鉛や水銀)が含まれているため、適切な処理をせずに破棄することは環境負荷にもつながります。
このセクションでは、安心・安全にHDDを廃棄するための正しい方法を3つご紹介いたします。
HDDを廃棄する前に、ソフトを使って中のデータを完全に消去する方法があります。これは物理的に破壊せず、パソコンの操作だけで安全に処分できるため、初心者の方にもおすすめです。
一般的な「ごみ箱削除」や「フォーマット」では、実はデータは完全には消えません。専用のデータ消去ソフトを使って、複数回上書き処理を行うことで、復元できない状態にすることが重要です。
AOMEI Partition Assistantは、こうした完全データ消去機能を搭載したソフトです。操作はとてもシンプルで、HDDを選んでボタンをクリックするだけ!米国国防総省準拠のデータ抹消方式(DoD 5220.22-M)にも対応しており、個人情報や機密データを確実に消したい方に最適です。
ステップ 1. AOMEI Partition Assistantをインストールして起動します。完全消去したい対象HDDを右クリックして「ハードディスクを消去」を選択します。
ステップ 2. 次のポップアップウィンドウで消去方式を一つ選択します。ここでは「全セクタにゼロを書き込む(安全かつ迅速)」を例として選択しましょう。
ステップ 3. 「はい」をクリックした後、メインな画面に戻ります。ツールバーの「適用」⇒「続行」をクリックしてHDD完全消去を始めます。
この方法の最大のメリットは、HDDを再利用できることです。例えば:別のパソコンに取り付けてストレージとして使うか、外付けHDDケースに入れてバックアップ用にするか、PCごと譲渡・売却する際の安全対策として活用することです。物理的に壊さないため、資源を無駄にせずエコ&経済的です。
HDDを物理的に破壊してしまえば、データの復元はほぼ不可能になります。とくに機密性の高いデータを含むHDDを廃棄する場合には、最も確実で安心な方法といえるでしょう。以下に、自宅でできる基本的な破壊手順をご紹介します。
ステップ 1. パソコン本体や外付けHDDケースからHDDを取り外します。必ず電源が切れていることを確認し、静電気にも注意してください。
ステップ 2. HDD本体のネジをドライバーで外し、金属製のカバーを取り外します。一部のネジはシールの下に隠れていることも注意してください。
ステップ 3. 中を開けると、円盤状の部品(プラッタ)が見えます。これがデータを記録している部分で、このプラッタを破壊する(キズや穴をあける)ことが重要です。ハンマーで数回叩く、ドリルで数か所に穴をあける、ペンチで折り曲げる・割るなどの方法で、プラッタに物理的なダメージを与えます。
ステップ 4. データ保存部分は主にプラッタですが、念のため、基板(緑色の回路)にもダメージを与えるとより安心です。
HDDのデータを確実に消去し、適切に処分したい場合は、専門の処分業者に依頼する方法がおすすめです。とくに「自分で破壊するのは不安」「会社で複数台まとめて処分したい」などのケースでは、安全性・効率性・証明書発行の面でもメリットが大きいです。
ステップ 1. 「HDD 廃棄 専門業者」や「データ消去サービス」などで検索し、信頼できる業者を選びます。
ステップ 2. 業者のサイトから処分したいHDDの台数や内容を伝え、見積もりを依頼します。法人の場合は、機密保持契約(NDA)を結ぶケースもあります。
ステップ 3. HDDを渡すか、回収してもらいます。
ステップ 4. 多くの業者では、HDDの処理が完了すると「データ消去証明書」や「破壊証明書」を発行してくれます。
それ以外にも、状況によって使える方法があります。
① 磁気消去(ディガウス)を使う:磁気の力でHDDの記録面を完全に破壊する方法です。一般家庭ではあまり現実的ではありませんが、一部のデータ消去業者がこの方法を使ってくれます。
② パソコン下取りサービスを利用する:メーカーや家電量販店が提供している「下取り・回収サービス」を利用する方法です。例:パソコン工房、ドスパラ、ヤマダ電機、富士通など。
③ 自治体の「小型家電回収ボックス」を利用する:一部の市区町村では、HDD付き機器(古いパソコンや外付けHDD)も回収対象にしています。
ただし、こんな方法はNG!
HDDを燃えるゴミ・不燃ゴミで出す → 違法の可能性あり、環境負荷大
HDDを川や池に捨てる、水に漬けて捨てる → 違法かつ環境汚染リスク
電動ドリルなどで中途半端に穴を開けて放置 → 破壊が不十分だと復元されることも
HDDの廃棄方法は、個々の状況や目的に応じて選ぶべきです。例えば、再利用したいのか、データの完全消去が最優先なのか、処分したいだけなのか、目的によって適した方法が異なります。
そこで、以下の質問に「はい」「いいえ」で答えていくだけで、自分に最適なHDD処分方法がわかります。
Q1. HDDを再利用したいですか?
→ はい → Q2へ
→ いいえ → Q4へ
Q2. パソコンの操作にある程度慣れていますか?
→ はい → 👉 おすすめ:データ消去ソフトを使う
安全にデータを消去したうえで、HDDを他の用途に再利用できます。
→ いいえ → Q3へ
Q3. お金がかかってもいいので、確実にデータを消したいですか?
→ はい →
👉 おすすめ:専門業者に依頼する
証明書付きで安全に消去してくれるので、初心者でも安心です。
→ いいえ →
👉 おすすめ:データ消去ソフトを使う(操作が簡単なものを選ぶ)
初心者向けのシンプルなソフトもあります。
Q4. データを他人に見られたくありませんか?
→ はい → Q5へ
→ いいえ →
👉 おすすめ:そのままHDDを破棄(ただしリスクあり)
データ消去せずに処分するのは情報漏洩のリスクが高いため非推奨です。
Q5. 自分で工具を使って分解・破壊するのに抵抗はありませんか?
→ はい →
👉 おすすめ:物理的に破壊する
ドライバーや金づちなどでHDDを壊せば、簡単かつ確実にデータを読み取れなくなります。
→ いいえ →
👉 おすすめ:専門業者に依頼する
物理破壊+データ消去をセットで行ってくれる業者もあります。
HDDを水に浸けるだけではデータは完全に消去されず、情報漏洩のリスクが残ります。確実かつ安全に処分するためには、「データ消去ソフトの使用」「物理的な破壊」「専門業者への依頼」といった方法が有効です。それぞれにメリット・デメリットがあるため、簡易診断チャートを参考にして、自分に合った方法を選びましょう。大切なデータを守るために、正しい知識で適切な対応を行うことが大切です。