Windowsの起動に関する問題を修復する際、BCD(ブート構成データ)という重要なファイルに関わるエラーや設定変更を行うことがあります。BCDファイルは、システムが正常に起動するために必要な設定データを格納するファイルであり、このファイルが正しく動作しないと、Windowsの起動に支障をきたすことがあります。本記事では、BCDファイルの概要、BCDファイルの場所、BCDファイルの仕組み、BCDファイルが見つからない場合や破損しているなどの場合の対処法について説明します。
BCD(ブート構成データ)ファイルは、Windows10/11のオペレーティングシステムにとって重要な役割を果たします。BCDファイルは、システムのブートに必要な設定情報を保存するデータベースとして機能し、PCが正常に起動するために欠かせません。本記事では、BCDファイルの場所、BCDファイルがどのように動作するか、BCDファイルが欠落または破損した場合に起こる問題、そしてその修復方法について説明します。
BCDファイルは、Windowsの起動に関連する設定情報を格納する重要なファイルです。このファイルには、システムが起動時に使用するブートローダーやブートマネージャーの設定が含まれています。具体的には、OSがどのドライブから起動するか、どのパーティションにシステムがインストールされているか、セーフモードでの起動など、起動に関する設定が保存されています。
BCDファイルは、システムの起動設定が破損したり、変更された場合に修復を行うために重要な役割を果たします。このため、BCDファイルの場所とその内容を理解することは、Windowsのトラブルシューティングにおいて非常に重要です。
BCDファイルは、Windowsのシステムドライブの「EFI*パーティションに格納されています。このパーティションは通常、物理的なドライブの最初の部分にあり、Windowsの起動に必要なすべてのファイルが含まれています。具体的には、次のパスに保存されています。
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EFIパーティション内のパス:C:\Boot\BCD
一般的なBCDファイルのパス(EFIシステムパーティション内):X:\EFI\Microsoft\Boot\BCD
※X: はEFIシステムパーティションのドライブ文字です。通常、回復環境で表示されます。
ここで、BCDファイルが格納されている「BCD」というファイルは、システムの起動構成情報を保持するため、削除や変更を誤ると、Windowsが起動しなくなる可能性があります。
通常、BCDファイルはシステムのメインディスクにありますが、システムドライブが複数のドライブに分割されている場合や、ユーザーがディスク管理をカスタマイズした場合、BCDファイルの場所が異なることがあります。例えば、システムの起動に関するデータが他のパーティション(例えば、回復パーティション)に格納されている場合もあります。
また、BCDファイルは通常、「隠しファイル」および「システムファイル」としてマークされているため、ファイルエクスプローラーで表示されないことがあります。この場合、隠しファイルを表示する設定を変更する必要があります。
BCDファイルを確認するには、次の手順に従ってください:
ステップ 1. 管理者としてコマンドプロンプトを開きます。
ステップ 2. 次のコマンド「bcdedit/enum all」を入力して、Enterキーを押します。
このコマンドを実行すると、現在のシステムのブート構成データが表示され、BCDファイルの場所が確認できます。
BCDファイルが欠落または破損していると、Windowsが正常に起動しなくなり、「ブート構成データファイルが見つかりません」や「ブートデバイスが見つかりません」といったエラーが表示されることがあります。BCDファイルがないと、Windowsは必要な情報を参照できないため、起動に失敗します。
BCDファイルに問題が発生する原因としては、以下のようなものがあります。
BCDに関連する問題に直面した場合、BCDファイルを修復するいくつかの方法があります。以下は代表的な修復方法です。
コマンドプロンプトを使用して、BCDファイルを再構築することができます。
ステップ 1. Windows 10のインストールUSBまたはDVDを挿入し、コンピューターをそれから起動します(ブート順序を変更するにはBIOSに入る必要があります)。
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ステップ 2. 最初に言語やキーボードなどを選ぶ初期設定の画面が表示されたら、そのままにして「次へ」をクリックします。「コンピューターを修復する」をクリックします。
ステップ 3. 「トラブルシューティング」→「コマンドプロンプト」を選択します。
ステップ 4. コマンドプロンプトで、「bootrec /rebuildbcd」を入力し、Enterキーを押します。このコマンドはハードドライブをスキャンし、Windowsのインストールを検出してBCDに追加することができます。
上記の方法は、コマンドプロンプトに慣れている方には有効ですが、コマンドラインツールに不安がある方には少し難しいかもしれません。そんな方には、AOMEI Partition Assistantが簡単で直感的な解決策を提供します。
AOMEI Partition Assistantは、使いやすいインターフェースでBCD修復の手順をガイドしてくれるため、初心者にも適しています。また、従来の方法ではコマンドライン操作が必要ですが、AOMEIではUSBブートディスクを簡単に作成してシステム修復ができる、より包括的なツールを提供しています。
ステップ 1. AOMEI Partition Assistantををインストールして起動します。メイン画面で「復元」タブを選択し、「ブート修復」をクリックします。
ステップ 2. ポップアップで「次へ」をクリックし、システムのブートエントリのスキャンを開始します。
ステップ 3. スキャンが完了すると、システムパスやバージョン、ブートステータスが表示され、修復可能なエントリを選択できます。
「詳細オプション」をクリックして修復されたブートエントリを保存する場所を選択できます。現在のディスクに修復するか、別のディスクに修復するかを選択できます。デフォルトでは、現在のディスクに修復されます。
ステップ 4. 修復したいエントリを選んで「修復」をクリックし、ブート修復を開始します。
ステップ 5. 修復が完了するまで待ちます。修復が成功した場合、 「修復に成功しました」という結果が表示されます。
ヒント、PCが起動しない場合の修復
ステップ 1. 別の動作しているPCにAOMEI Partition Assistantをインストールし、「復元」→「ブート修復」とクリックし、「ブータブルディスクを作成」をクリックしてWinPE用のブート修復ディスクを作成します。
ステップ 2. 起動できないPCをブータブルディスクで起動します。ブート修復ツールが自動的にロードされ、スキャンが始まり、修復可能なブートエントリが表示されます。
ステップ 3. 修復したいエントリを選び、「修復」ボタンを押して処理を開始します。
システムファイルチェッカー(SFC)やDISM(展開イメージのサービスと管理ツール)を使用して、システムファイルの破損を修復することもできます。
ステップ 1. 管理者としてコマンドプロンプトを開きます。
ステップ 2. コマンド「sfc /scannow」を実行します。
ステップ 3. SFCスキャンの後、「DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth」を入力して、Enterキーを押します。DISMはWindowsコンポーネントストア内の破損をチェックし、必要に応じて修復します。
スタートアップ修復は、Windows回復環境にある自動ツールで、特定の起動の問題を修正できます。
ステップ 1. 起動可能なメディアを起動できないWindows 10のコンピューターに接続し、BIOSに入って、PCが起動可能なメディアから起動できるようにします。そして、コンピュータを再起動します。
ステップ 2. 「CDまたはDVDから起動するには任意のキーを押してください」というメッセージが表示されたら、任意のキーを押して、CDまたはDVDからPCを起動します。
ステップ 3. 言語、時刻、通貨の形式、キーボードまたは入力方式などを選択し、「次へ」をクリックします。
ステップ 4. 次に、Windows 10のインストールウィンドウが表示され、「コンピューターを修復する」をクリックします。
ステップ 5. 次に「トラブルシューティング」>「詳細オプション」>「スタートアップ修復」をクリックします。
指示に従って、Windowsが自動的に起動の問題を診断し修復するようにします。
この記事では、BCD(ブート構成データ)ファイルの場所とその重要性について解説しています。BCDファイルは、システムのブート設定を管理している重要なデータファイルで、Windowsが正しく起動するためには欠かせない要素です。通常、BCDファイルは「C:\boot\」ディレクトリ内に格納されていますが、システム構成によっては異なる場所に存在する場合もあります。BCDが破損したり欠けたりすると、起動エラーが発生することがあるため、ファイルのバックアップや修復方法を理解しておくことが重要です。
もしBCDファイルが破損した場合、Windowsの「ブート修復ツール」やコマンドプロンプトを使用して修復できます。AOMEI Partition Assistantなどのツールも利用することで、ブートエラーを修正する手助けになります。BCDファイルの場所や修復方法を理解し、適切に管理することで、システムの起動に関するトラブルを最小限に抑えることができます。