BIOS(バイオス:Basic Input Output System)は、パソコンで使われる機器の管理と制御を行う役割を持ちます。近年では、UEFIが普及していますが、これも広義の意味でBIOSと呼ばれることもあります。この記事では、BIOSの基本的な解説から、そのアップデートの必要性やアップデート(更新)方法、アップデート時の注意点に至るまでを分かりやすく説明します。また、BIOSをレガシーからUEFIに切り替える方法も紹介します。
BIOS(バイオス:Basic Input Output System)とは、パソコンのハードウェア(キーボード・マウス・メモリ・CPU・ハードディスク等)を制御してオペレーティングシステム(OS)が動作できるようにするプログラムです。これはマザーボードに組み込まれたROM(読み取り専用メモリ)に格納されています。
BIOSはマザーボード内のハードウェアの状態をチェックし、CPUやメモリ、ストレージなどのハードウェアが正しく動作するように初期化します。初期化が完了すると、BIOSはOSの起動を開始します。このプロセスは「ブートストラップ」と呼ばれています。
BIOSはパソコン起動時のハードウェア制御だけでなく起動順位の変更やパスワード設定(不正なユーザーのアクセスを防止)を行うことができます。
他にも、パソコンの故障箇所の診断をするためにハードウェアテストを行い、CPUやメモリ、HDDの動作に異常がないかの確認も行うことができます。
さらに、搭載されているハードウェアを使わせたくない場合等に、意図的に無効化したり、BIOSメニューでの日付や時刻の表示だけではなく、マザーボード内の日付時刻の設定を行うことができます。
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BIOSには大きく分けて「Phoenix Award BIOS」「AMI BIOS」「Intel Visual BIOS」「UEFI」の 4 種類があります。より高度な機能とセキュリティを備えた「UEFI」(Unified Extensible Firmware Interface)は新しいタイプのBIOSで、従来のBIOS(Legacy BIOS)を拡張したものです。UEFIはマウスでも操作できるようになるので、近年のパソコンのマザーボードはほぼUEFIになっています。
※話をわかりやすくするために、ここではUEFIもBIOSと呼ぶことにします(実際、UEFIはUEFI BIOS、または単にBIOSと呼ばれることがよくあります)。なお、一般的にBIOSという言葉には、UEFIを含んで使われます。
BIOSもWindoswなどと同じように、ROMのプログラムの書き換え作業などでアップデートすることがあります。また、BIOSは常により良いパフォーマンスと安定性を提供するために、随時アップデートが提供されることがあります。
BIOSアップデートは新たなハードウェアの互換性の向上や安定性の拡張、バグ修正など、システムのパフォーマンスを最適化する重要な手段です。実際には、アップデートによってPCが新しいハードウェアやソフトウェア技術をサポートするようになり、全体的な動作を改善することが可能です。
一部の人々は、BIOSのアップデートは「必要な時だけ」と考えるかもしれませんが、最新のセキュリティパッチや強化を受け取るためにも、定期的なアップデートは重要です。
⭐【結論】BIOSのアップデートを行う一番の理由は、既存のハードウェアとの互換性を拡大すること、または既存ハードウェアのバグを修正することです。
BIOSを起動しなくても、Windowsのシステム情報でBIOSのバージョンを確認することができます。
手順 1. 「Windows」キーと「R」キーを同時に押し、「ファイルを指定して実行」を開き、「MSInfo32」を入力し、「OK」をクリックします。
手順 2. 「システム情報」の「システムの要約」内、「BIOSバージョン/日付」でBIOSのバージョンを確認、「BIOSモード」でBIOSのブートモードを確認することができます。
※「ベースボード製造元」 (マザーボードのメーカー)および 「ベースボード製品」(型番) と書かれた行も確認してください。製品モデルがわかったら、製造元の製品サポートページに移動して、その製品のマニュアルを探すことができます。
BIOSのアップデートは、特に慎重に行う必要があります。BIOSのアップデートに失敗した場合、パソコンの動作が不安定になるか、パソコン自体が起動しなくなる可能性があります。こうしたアップデートの失敗を防ぐため、ACアダプタを装着していないと実行されなかったり、Windowsを開いている状態のときにアップデートされたりと、メーカー側でもトラブルを防ぐような仕組みをとっているようです。そのほか、BIOSをアップデートするときに、安全なアップデート手順をきちんと守ることも重要です。
管理者のアカウントでWindowsにサインインしてください。
パソコンの電源を切らないでください。
バッテリー残量の確認や電源の安定などが必要です。LIFEBOOK/FMV Lite/arrows Tabをお使いの場合、必ずパソコン本体にACアダプタを接続してください。arrows TabにACアダプタを接続できない場合、パソコン本体にクレードルを取り付けてからACアダプタを接続してください。STYLISTICをお使いの場合、キーボード・ドッキングステーションを接続したままでも、ACアダプタを接続できます。キーボード・ドッキングステーションを使用しない場合、パソコン本体にACアダプタを接続してください。
新しいBIOSのバージョンが自分の要件に適しているかどうかも確認することが必要です。いくつかのアップデートはハードウェアの調整や修正を必要とし、それが全てのユーザーに適しているわけではないので注意してください。
そのほか:「適正なファームウェアのソースからBIOSをダウンロードしてください」「BIOSをアップデートしたあとは、以前のバージョンには戻せません」「一部の機種は、BIOSをアップデートする前に、デバイスの暗号化をオフ(無効)にしてください」「万が一の場合に備えて、大切なデータは事前にバックアップをお勧めします」といった基本的な注意点を考慮することが必要です。
PCのハードウェアで問題が生じた場合、BIOSをアップデートすることで解決できる場合があります。次は、BIOSのアップデート方法を詳しく解説します。
※BIOSのアップデートは日常的に行われるものではないということがあります。PCやマザーボードの製造元が推奨する場合や、BIOSのアップデートで修正できる既知の問題が発見された場合にのみ行うことをお勧めします。
手順 1. まず、マザーボード製造元の公式ウェブサイトやPCメーカーのサイト(必要なアップデートファイルはすべてここにある)から、対象となる最新のBIOSファイルをダウンロードすることから始めます。
手順 2. 次に、ダウンロードしたBIOSファイルを解凍し、DVDやUSBメモリなどにコピー・保存します。
手順 3. その後、BIOSセットアップ画面やメーカーが提供しているアップデートツールから、「Flash BIOS」や「Update BIOS」などのメニューを選択し、保存したBIOSファイルを指定してアップデートを行います。
手順 4. 最後は、画面の指示に従ってアップデートを進め、終了したらPCを再起動します。
具体的なBIOSのアップデート方法は、パソコンメーカーやモデルにより手順が異なるので、常に公式のマニュアルやガイドを参照することが重要です。マザーボードの製造元の指示を常にきちんと守ることが必要です。
まず、アップデートが途中で止まった場合やエラーメッセージが表示された場合には、PCを再起動せずにまずはサポートに連絡することをおすすめします。
また、アップデート後にPCが正常に起動しなくなった場合には、CMOSクリアという操作を行ってBIOSの設定を出荷時の状態に戻す方法があります。
これらのトラブルシューティングは一般的な対処法ですが、具体的な方法はPCやマザーボードのメーカー、モデルによります。そのため、問題が発生した場合はメーカーのサポートに問い合わせることを強く推奨します。
UEFIの採用により、互換性の高いソフトウェアとハードウェアを利用、かつ最新のセキュリティ機能を享受することが可能になります。また、UEFIは高度なブートオプションとネットワーク機能を提供し、これによりデバイスの設定と管理がより容易になります。
UEFIモードはGPT(GUID・パーティション・テーブル)パーティションスタイルと互換性があり、レガシーBIOSモードはMBR(マスター・ブート・レコード)パーティションスタイルと互換性があります。そのため、BIOSをレガシーからUEFIに切り替えるために、まずディスクをMBRからGPTに変換しておく必要があります。GPTディスクに変換しないとUEFIモードでは起動できないことがあります。
🌸【徹底解説】MBRとGPTの違い、確認・変換方法、どっちがいい?
ここでは、AOMEI Partition Assistant Professionalという強力なディスク&パーティション管理ソフトをお勧めします。これを使うと、データを失うことなくデータディスクまたはシステムディスクをMBRとGPTの間で変換することができます。また、Windowsが正常に起動しないとき、データを失うことなくディスクをMBRとGPTの間で変換するために、ブータブルCD/USBを作成することもできます。
手順 1. AOMEI Partition Assistant Professionalをダウンロード、インストール、起動します。GPTディスクに変換したいMBRディスクを右クリックし、「GPTディスクに変換」を選択します。
手順 2. 操作確認画面が表示されるので、「はい」をクリックします。
手順 3. 「適用」⇒「続行」をクリックし、保留中の操作を実行します。
完了後、コンピュータを再起動して、ディスクはGPTパーティションスタイルに変更されます。同じ方法によってGPTディスクからMBRディスクへの変換も可能です。
MBRディスクをGPTディスクに変換した後、BIOS互換モード(BIOSの設定画面)に移動し、ブートモードをLegacy BIOSからUEFIに設定(変換)することができます。
手順 1. BIOSの設定画面にアクセスし、「Boot」タブを選択します。
一般的なWindowsパソコンのBIOS設定画面には、パソコンの電源を入れる際や再起動の際に特定のキーを押すことでアクセスします。使用するキーはパソコンのメーカーやモデルにより異なりますが、よく使われるのは「F2」や「Del(Delete)」、「F1」、「F10」キーなどです。電源を入れた瞬間、または再起動時にこれらのキーのどれかを押し続ける(複数回連打する)と、通常はBIOS設定画面に移行します。
ASROCK | 「F2」キー |
ASUS | 「Del」キー |
BIOSTAR | 「Del」キー |
GIGABYTE | 「Del」キー |
Intel | 「F2」キー |
MSI | 「Del」キー |
手順 2. 「Boot」画面から、「UEFI/BIOS Boot Mode」を選択し、Enterを押します。
手順 3. 「UEFI/BIOS Boot Mode」ダイアログボックスが表示されるので、「UEFI」を選択します。
主な操作にはキーボードを使います。上下の矢印キーで項目を選び、「Enter」キーを押してその項目を開きます。設定の変更は「+」や「-」キー、または左右の矢印キーで行います。変更内容を保存して画面を終了するには、F10を押します。
こうすると、ブートモードをLegacyからUEFIに切り替えても、Windows OSが正常に起動することができます。
この記事では、BIOSアップデートの重要性、リスクと注意点、手順と方法、そしてアップデート時のトラブルシューティングについて解説しました。
BIOS自体のファームウェアのアップデートは、システムの安定性を向上、新たなハードウェアへ対応、セキュリティ問題を修正するために行います。ただし、一般的なパソコンの使用状況においては、BIOSのアップデートはめったに必要ではありません。なぜなら、BIOSのアップデートには、いくつかのリスク(例えば、パソコンが起動しなくなるリスク)があるからです。
メーカーが問題解決策として推奨する場合や、セキュリティ強化が必要な状況(改善すべき問題が発生したとき)でないかぎり、BIOSのアップデートは避けるべきです。どうしても必要な場合は、専門知識を持つ人に依頼しましょう。