本記事では、Windows 10のシステムドライブをMBRからGPTに変換する方法について紹介します。データを保持して変換する方法も併せて紹介します。CUI(文字によるユーザインターフェイス)で「MBR2GPT」「Diskpart」を実行するか、GUI(ビジュアルによるユーザインターフェイス)で「ディスクの管理」「AOMEI Partition Assistant Professional」を使用してWindows 10のシステムドライブをMBRからGPTに変換することができます。
システムドライブとはオペレーションシステム(OS)がインストールされているハード・ディスク・ドライブ(HDD)またはソリッド・ステート・ドライブ(SSD)のことを指しています。OSがインストールされているドライブにいくら音楽、動画、画像ファイルやメールなどが入っていますが、それはシステムドライブということです。
Windows 10ではMBRとGPTの2種類のパーティション形式が利用できます。MBRとGPTは、どちらもパソコンの電源を入れたときに、一番最初に読み込まれる場所(領域)のことです。
MBRとはマスターブートレコードの略語です。HDD/SSDの先頭セクタに位置するブートローダとパーティションテーブルを格納するために使用されます。MBRは古いですが広く互換性があります。
GPTとはGUIDパーティションテーブルの略語です。HDD/SSDの先頭と末尾に位置するパーティションテーブルを格納するために使用されます。GPTはより新しくて柔軟性があり、冗長性を提供します。
MBRとGPTどちらもパーティションを管理する仕組みですが、それぞれに独自の特性と利点があります。
🧿ブートモード:
レガシーBIOSで起動しているシステムドライブはMBRパーティション形式ですが、UEFIで起動しているシステムドライブはGPTパーティション形式です。
🧿ディスク容量:
MBRは古い方式で、この方式だとHDD・SSDの容量にかかわらず、最大ストレージ容量「2TB」に制限されてしまいますが、GPTは新しい方式(MBRの後継者的な存在)で、「2TB」を超えたHDD・SSDも使用することができます。
※たとえば、4TBのハードディスクを使用している場合、MBRでは2TBしか認識できませんが、GPTでは全ての容量を利用できます。
🧿パーティション数:
MBRの場合は、HDD・SSD内に最大4つのプライマリーパーティション(論理ドライブを使えば、MBRでも5つ以上のパーティション)を作成できますが、GPTの場合は、HDD・SSD内に作成できるプライマリーパーティションの数はほぼ無制限です(Windowsの実装では最大128個のパーティションに制限されてしまいます)。
🧿互換性:
古いシステム(※「Windows XP」以前とか)はGPTに対応していませんが、MBRは古いシステムとの互換性があります。
USBメモリやSDカードなど、汎用性が高く、容量もそれほど大きくない記憶装置は、基本的にMBRで使われています。プリンタなど、拡張性のないデバイスも、MBRにしか対応していないことがあります。
🧿セキュリティ:
セキュリティ特性を考えると、GPTはMBRよりも優れた選択肢と言えるでしょう。GPTがCRC(巡回冗長検査)チェックとバックアップヘッダーを提供し、データの一貫性と復旧能力を確保します。
具体的には、GPTは主要なパーティションテーブルとバックアップパーティションテーブルの両方を保持します。これにより、主要なテーブルが破損した場合でも、バックアップから情報を復元することが可能です。また、CRC検査を通じて、データの一貫性を維持し、エラーを発見して修正する能力があります。
※たとえば、システムが不意にシャットダウンした際、GPTのこの特性はデータ損失を防ぐ重要な役割を果たします。
💡【結論】上述のように、MBRは古い規格であり、2TBまでの容量制限とパーティションは4つまでしか作成できない制約があります。このデメリットを排除するには、パーティション形式をGPTに変更する必要があります。また、Windows 11にアップグレードする場合も、ブートモードをUEFIにする必要があるため、システムドライブをGPTに変更する必要があります。
🎯理由①:3TBのMBRシステムドライブを持っている場合、1TBの部分がWindows 10で『未割り当て領域』として表示され、使用することはできません。2TBを超えるシステムドライブの全領域を使えるようにするために、システムドライブをGPTに変更する必要があります。
🎯理由②:MBRシステムドライブでは、最大4つのプライマリパーティション或いは3つのプライマリパーティションおよび1つの拡張パーティション(複数の論理ドライブ)が作成可能ですが、GPTディスクでは、最大128個のプライマリパーティションが作成可能です。より多くのプライマリパーティションを作成するために、システムドライブをGPTに変更する必要があります。
🎯理由③:GPTはWindows 10オペレーティングシステムでUEFI BIOSを使用するので、起動(シャットダウン)時間が短縮され、また、セキュリティ上のメリットもあります。パソコンの動きを早くする・軽くするか、データの安全性を確保するために、システムドライブをGPTに変更する必要があります。
🎯理由④:Windows 10をWindows 11にアップグレードしようとする場合、Windows 11が「UEFIモード」の「GPTハードディスクドライブ」または「GPTソリッドステートドライブ」にしか対応しないため、ブートモードをUEFIに変更、システムドライブをGPTに変更する必要があります。
システムドライブをMBRからGPTに変換する前に、システムドライブのディスク番号とパーティション形式がMBRであることを確認する必要があります。
手順 1. 「Windowsマーク」を右クリックして「ディスクの管理」を選択します。
手順 2. 「ディスクの管理」ウィンドウの下側のディスク一覧で、「Windowsがインストールされているドライブを含むディスク番号」を確認します。
手順 3. ディスク0を右クリックして「プロパティ」を選択します。
手順 4. 「ボリューム」タブをクリックして「パーティションのスタイル」が「マスターブートレコード(MBR)」であることを確認します。
次は、Windows 10のシステムドライブをMBRからGPTに変換する方法を4つ紹介します。
AOMEI Partition Assistant Professionalは、優れたディスク管理ソフトです。パーティションを削除せずに(データを失うことなく)、システムドライブをMBRからGPTに変換することができます。そのほか、ブータブルUSB/CDの作成、空き領域の割り当て、SSDへのOS移行、紛失したデータの復元、重複ファイルの検索&削除など、強力な機能がたくさん備えています。
Windows 10でシステムドライブをMBRからGPTに変換する場合は、次の手順に従ってください。
手順 1. AOMEI Partition Assistant Professionalをダウンロードし、インストールし、起動します。
手順 2. 変換するシステムドライブ(この例ではディスク0)を右クリックし、「GPTディスクに変換」を選択します。
手順 3. 変換操作の確認画面が表示されたら、「はい」をクリックします。
手順 4. メッセージをよく読んで、「はい」をクリックします。
手順 5. 問題なければ「適用」をクリックして、MBRからGPTへの変換を実行します。
Microsoftから提供されているMBR2GPTツールを実行することで、Windowsのシステムドライブ内のデータを保持したままMBRからGPTに変換することができます。
MBR2GPTツールを実行してシステムドライブをMBRからGPTに変換するには、以下の手順で操作します。
手順 1. Windows 10を起動した状態で、「Windowsマーク」をクリックして「設定」⇒「更新とセキュリティ」⇒左ペインの「回復」を選択します。右ペインで、「PCの起動をカスタマイズする」にある「今すぐ再起動」ボタンをクリックします。
手順 2. 「オプションの選択」画面が表示されるので「トラブルシューティング」を選択します。
手順 3. 「詳細オプション」画面が表示されるので「コマンドプロンプト」を選択します。
手順 4. コマンドプロンプトが管理者権限で起動したら、「mbr2gpt /validate /disk:0」コマンドを入力してEnterキーを押します。
手順 5. 検証が完了して変換可能な場合は、続けて「mbr2gpt /convert /disk:0」コマンドを入力してEnterキーを押します。
手順 6. 最終行に「Before the new system can boot properly you need to switch the firmware to boot to UEFI model」(新しいシステムを正しく起動する前に、ファームウェアを変更してUEFIモデルで起動する必要があります)が表示されたら、コマンドプロンプトを閉じて「PCの電源を切る」をクリックします。
パーティションテーブルをMBRからGPTに変換したら、前述したように、システムを正しく起動する前に、ファームウェアを変更してUEFIモードで起動する必要があります。
MBR2GPTツールは、WinPEやWinREを起動せずにWindowsを起動した状態のまま実行することもできます。
手順 1. 「Windowsマーク」を右クリックして「Windows PowerShell(管理者)」を選択します。
手順 2. PowerShellウィンドウが開いたら、GPTに変換できるか確認するために「mbr2gpt /validate /disk:0 /allowFullOS」コマンドを入力してEnterキーで実行します。
手順 3. GPTに変換できることを確認したら、MBRからGPTに変換する「mbr2gpt /convert /disk:0 /allowFullOS」コマンドを入力してEnterキーで実行します。
「Conversion completed successfully」と表示されれば変換完了です。GPTに変換できたら、『おまけ:ブートモードをUEFIに変更する方法』に進んでブートモードの変更を行ってください。
Windowsのインストール時にDiskpartツールを実行することで、インストール先のシステムドライブをMBRからGPTに変換してからインストールを実行することができます。
Windowsのインストール時にDiskpartを使ってシステムドライブをGPTに変換するには、以下の手順で操作してください。
手順 1. インストールメディアから起動します。
手順 2. 「Windowsセットアップ」の画面が表示されたら、キーボードの「Shiftキー+F10」キーを入力し、コマンドプロンプトを開きます。
手順 3. コマンドプロンプトで「diskpart」コマンドを入力してEnterキーを押します。
手順 4. 続いて「list disk」コマンドを入力してEnterキーを押します。
手順 5. 「select disk 0」コマンドを入力してEnterキーを押します。※「0」の部分は、確認したディスクの番号に置き換えてください。
手順 6. パーティション情報を削除する「clean」コマンドを入力してEnterキーを押します。※選択したディスク上のすべてのパーティションまたはボリュームを削除します。
手順 7. GPTに変換する「convert gpt」コマンドを入力してEnterキーを押します。
「選択されたディスクをGPTフォーマットに正常に変換しました」と表示されたら変換は成功です。右上の「x」ボタンをクリックしてコマンドプロンプトを終了します。
インストール先のシステムドライブをMBRからGPTに変換してからWindowsのインストールを続行します。Windowsをインストールできたら、『おまけ:ブートモードをUEFIに変更する方法』に進んでブートモードの変更を行ってください。
Windowsを新しく用意した別のHDD/SSDにインストールしようとしている場合は、Windowsの「ディスクの管理」ツールを使用して別のHDD/SSDをGPTに簡単に変換することができます。
「ディスクの管理」は、Windows 10標準搭載のツールの1つとして、パーティションを作成、削除、フォーマット、拡張、縮小したり、HDD・SSDをGPT/MBRに変換することができます。
「ディスクの管理」を使用して、HDD/SSDをGPT形式に変換してWindowsをインストールするには、以下の手順で操作してください。
手順 1. 新しく用意したHDD/SSDをお使いのパソコンに接続します。
手順 2. 「Windowsマーク」を右クリックして「ディスクの管理」を選択します。
手順 3. 「ディスクの管理」の下側のディスク一覧で「新規のHDD/SSD(ディスク1など)」を右クリックして「GPTディスクに変換」を選択します。
(●'◡'●)【補足】対象のHDD/SSDにボリュームが割り当てられている場合は、右クリックして「ボリュームの削除」を実行してからGPTに変換してください。
HDD/SSDをGPT形式に変換してから、Windowsインストールメディアから起動して、対象のHDD/SSDにWindowsをインストールしてください。Windowsをインストールできたら、『おまけ:ブートモードをUEFIに変更する方法』に進んでブートモードの変更を行ってください。
GPT形式のシステムドライブでWindowsを起動するために、BIOSの設定でブートモードをUEFIに変更する必要があります。
手順 1. BIOSの起動は「電源ボタン」を押し、画面右下に「Press DEL to enter SETUP」 と表示されたら、すかさず「Delete」キーを押します。「BIOS SETUP UTILITY」画面が表示されたら、BIOSは正常に起動できています。
手順 2. BIOSの設定画面が開いたら、上部メニューの「Boot(またはブート、起動など)」⇒「Boot Mode Select」の右側「LEGACY」⇒表示されたメニュー内から「UEFI」をクリックし、UEFIモードに変更します。
手順 3. UEFIモードの変更後、上部メニューの「EXIT」⇒「Save Changes and Exit」クリックします。「Save&Exit Setup」メニューに「Save configuration and exit?」(構成を保存して終了しますか?)と表示されたら、「Yes」クをクリックします。
操作が終わるとパソコンは再起動されて、新しいUEFIモードで起動します。
Q:MBRとGPTは何ですか?
A:MBR(Master Boot Record)とGPT(GUID Partition Table)は、ハードディスクドライブ(HDD)またはソリッドステートドライブ(SSD)上のパーティションとブートプロセスを管理するフォーマットの方式です。MBRは古い方式で、GPTは新しい方式です。
Q:システムドライブをMBRからGPTに変換する理由は何ですか?
A:システムドライブをMBRからGPTに変換する理由は、新しいUEFI BIOSシステムや大容量のドライブをサポートする必要がある場合です。また、セキュリティやデータの信頼性を向上させるためにも変換が行われることがあります。
Q:システムドライブをMBRからGPTに変換する前にバックアップが必要ですか?
A:はい、システムドライブを変換する前に重要なデータのバックアップを取ることを強くお勧めします。変換プロセス中にデータが失われる可能性があるためです。
Q:MBRからGPTへの変換手順は何ですか?
A:DiskPartを利用してシステムドライブをMBRからGPTに変換する手順は以下の通りです:
Q:システムドライブをGPTに変換するとデータは消えますか?
A:「MBR2GPT」や「AOMEI Partition Assistant Professional」を使用してシステムドライブをGPTに変換するプロセス自体はデータを削除しませんが、変換前にバックアップを取ることをお勧めします。予期せぬ問題が発生した場合に備えて大切なデータを守るためです。
Q:システムドライブをGPTに変換する前に注意すべきことは何ですか?
A:システムドライブをGPTに変換する前に以下の点に注意してください:
Q:システムドライブをGPTに変換した後、Windowsを再インストールする必要がありますか?
A:いいえ、通常は(「MBR2GPT」や「AOMEI Partition Assistant Professional」を使えば)再インストールが必要ありません。変換後、Windowsは正常に起動できるはずです。ただし、変換前にドライバーやセキュリティソフトウェアをバックアップしておくことをお勧めします。また、変換後、ブートモードをUEFIに変更する必要があります。
Q:変換中に問題が発生した場合、どのようにサポートを受けられますか?
A:変換中に問題が発生した場合、サポートフォーラムや専門家の助けを受けることができます。Microsoftの公式サポートも利用できるでしょう。
MBRとGPTとは、パーティション方式の種類のことです。この記事では、Windows 10のシステムドライブをMBRからGPTに変換する理由および4つの方法をご紹介しました。
方法3と方法4はHDD/SSD上のすべてのパーティションまたはボリュームを削除する必要があります。実行前に、重要なデータをバックアップしたほうがいいと思っています。方法1と方法2はデータの損失を引き起こしませんが、方法2はWindows 10 v1703以降でのみ使用可能ですし、少し複雑で難しいです。パソコン初心者でも簡単に操作できる方法1を強くお勧めします。
Windows Server 2012/2016/2019/2022でシステムドライブをMBRからGPTに変換する必要がある場合、AOMEI Partition Assistant Serverを試してみることができます。
読者様は自分の状況に応じて適切な対処法を選んでよろしいと思います。ご参考になれば、幸いです。もしご不明な点などがありましたら、遠慮なくご質問ください。弊社のメールは:support@aomeitech.com。最後!問題を解決しておめでとうございます。(❁´◡`❁)