【必見】BitLockerが遅くなる原因とその解決策

BitLockerがPCの性能に与えるパフォーマンスの低下問題を解消するために、原因と改善策を詳しく説明します。暗号化速度を最適化するためのヒントを紹介します。

投稿者 @カオル 2024年11月06日 @カオル 最後の更新 2024年11月06日

BitLocker(ビットロッカー)は、Windowsに搭載された強力な暗号化機能で、データの安全を守るのに役立ちます。しかし、暗号化を有効にすると、PCの動作が遅くなることがあります。この記事では、BitLockerが遅くなる理由と、その改善策について詳しく説明します。パフォーマンスを向上させるための具体的な対策を紹介するので、ぜひご覧ください。

BitLockerが遅くなる主な原因

BitLockerによる暗号化がPCのパフォーマンスに与える影響を理解することは、問題を解決するための第一歩です。以下に主な理由を示します。

▸ハードディスクの種類(SSD vs HDD

BitLockerはデータを暗号化する際に、ディスクの入出力に大きな負担をかけます。HDD(ハードディスクドライブ)を使用している場合、データの読み書きが遅くなるため、暗号化によってシステム全体が遅くなることがあります。特に、大きなファイルやアプリケーションに頻繁にアクセスする場合、パフォーマンスの低下が目立ちます。

▸CPUの性能不足

BitLockerは、暗号化と復号化を行う際にCPUのリソースを使います。特に古いまたは性能が低いCPUを持つPCでは、暗号化によってパフォーマンスが大きく影響を受けます。

▸TPM(Trusted Platform Module)の使用

TPMはBitLockerのセキュリティを向上させるために使われますが、TPMを有効にするとハードウェアの暗号化が強化される一方で、遅延が生じることがあります。特に古いTPMバージョンやドライバーの問題があると、システムの速度に影響を与えることがあります。TPMを使わずにBitLockerを設定する方法もありますが、その場合はセキュリティが低下する可能性があります。

▸ディスクの断片化

特にHDDを使っていると、ディスクが断片化されるとBitLockerの動作が遅くなることがあります。断片化されたファイルの読み書きが遅くなるため、暗号化の速度も落ちてしまいます。

▸バックグラウンドプロセスとウイルス対策ソフト

バックグラウンドプロセスが多くのリソースを使っていると、BitLockerの動作が遅くなります。特にウイルス対策ソフトが暗号化中のファイルをチェックしていると、システム全体の性能に影響を及ぼすことがあります。

BitLockerのパフォーマンスを改善するための方法

BitLockerの影響を最小限に抑え、システムをよりスムーズに動作させるためには、以下の7つの改善策を試してみましょう。

改善策1:BitLockerの再暗号化を実施する

長期間使用しているPCでは、BitLockerの暗号化が不安定になることがあります。この場合、一度暗号化を解除し、再度暗号化を行うことで、性能が向上することがあります。

手順 1. スタートメニューから「コントロール パネル」を開き、「システムとセキュリティ」→「BitLockerドライブ暗号化」の順にクリックします。

手順 2. 「BitLockerを無効にする」をクリックします。暗号化の解除が完了するまで待ちます。

手順 3. 暗号化の解除が完了すると、「BitLocker ドライブ暗号化」の表示が「Bitlockerが無効です」と表示されます。「BitLockerを有効にする」をクリックして、指示に従って、もう一度有効にします。

改善策2:スケジュールで暗号化作業を行う

BitLockerはシステム全体を暗号化する際にバックグラウンドで作業を行います。この処理がCPUやディスクを多く使用していると、パフォーマンスが低下することがあります。設定で暗号化作業を夜間などにスケジュールすることで、リソースの負荷を軽減できます。

改善策3:暗号化アルゴリズムの設定を見直す

BitLockerでは、使用する暗号化アルゴリズムを変更できます。AES-256ビット暗号化は非常に強力ですが、CPUに負担がかかります。AES-128ビットに変更することで、パフォーマンスが改善される可能性があります。

手順 1. スタートメニューから「コマンドプロンプト」を管理者権限で開きます。

手順 2. 以下のコマンドを使用して、既存の暗号化設定を変更できます。

AES 128ビットに設定する:
manage-bde -setencipherkeysize C: 128
(C: は暗号化したいドライブのドライブレター)
AES 256ビットに設定する:
manage-bde -setencipherkeysize C: 256

このコマンドは、ドライブの暗号化を再設定するのではなく、既存の暗号化設定を変更するものです。

改善策4:デフラグをを行う(HDDの場合)

ハードディスクはHDDの場合、定期的にディスクの最適化(デフラグ)を行い、ファイルの断片化を防ぐことが大切です。SSDの場合は断片化の影響は少ないですが、デフラグによるパフォーマンス向上は期待できません。

手順 1. 「Windows」キーと「R」キーを同時に押して、「ファイル名を指定して実行」ウィンドウを開き、「cmd」と入力してコマンドプロンプトを起動します。

手順 2. 「defrag c: 」と入力し、「Enter」キーを押します(c: はデフラグしたいドライブのドライブレター)。

プログラムが実行されるのを待つと、ウィンドウにボリューム情報が表示されます。

改善策5:ドライバーとBIOSを更新する

古いドライバーやBIOS(バイオス)は、パフォーマンスを低下させることがあります。特に、ディスクやグラフィックカードのドライバーが古いと、暗号化処理に悪影響を及ぼすことがあります。ドライバーとBIOSを最新の状態に保つことで、パフォーマンスの向上が期待できます。

●ドライバーの更新手順

手順 1. 検索バーに「デバイスマネージャー」と入力して開きます。

手順 2. 「ディスクドライブ」を見つけて、問題のあるドライバーを右クリックします。その後、「ドライバーの更新」を選びます。

手順 3. 「ドライバーソフトウェアの最新版を自動検索します」を選択します。更新が終わったら、必要に応じてコンピュータを再起動します。

●BIOSの更新手順

BIOSのアップデート方法は、パソコンのメーカーやモデルによって異なるため、公式のマニュアルやガイドを確認することが大切です。

手順 1. マザーボードの製造元やPCメーカーの公式サイトから、最新のBIOSファイルをダウンロードします。

手順 2. ダウンロードしたBIOSファイルを解凍し、DVDやUSBメモリにコピーします。

手順 3. BIOSセットアップ画面やメーカーのアップデートツールを使って、「Flash BIOS」や「Update BIOS」を選び、保存したBIOSファイルを指定してアップデートします。

手順 4. 画面の指示に従ってアップデートを進め、完了したらPCを再起動します。

改善策6:ディスクの空き容量を確保する

ディスクの空き容量を十分に保つことは、BitLockerの性能を良くするのに役立ちます。特に、システムドライブの空きが少ないと、暗号化が遅くなることがあります。定期的に不要なファイルを削除して、空き容量を増やしましょう。

●不要なアプリのアンインストール

手順 1. 「Win+R」を押して実行ウィンドウを開き、「control」と入力してEnterを押します。

手順 2. コントロールパネルで「プログラムのアンインストールまたは変更」を選択します。

手順 3. 不要なアプリを右クリックし、「アンインストール」を選びます。

●ディスクのクリーンアップ

手順 1. Cドライブを右クリックして、「プロパティ」を選び、「ディスクのクリーンアップ」をクリックします。

手順 2. 表示された画面で、削除したいファイルを選んで「OK」を押します。

●Cドライブの拡張

手順 1. デスクトップの「コンピュータ」アイコンを右クリックし、「管理」を選びます。

手順 2. 「ディスクの管理」をクリックします。

手順 3. Cドライブを選んで右クリックし、「ボリュームの拡張」を選択します。

手順 4. 「ボリュームの拡張ウィザード」に従ってCドライブの容量を増やします。

📍関連記事:Cドライブがいっぱい!簡単に解決する5つの方法

改善策7:HDDをSSDにアップグレードする

可能であれば、HDDからSSDに切り替えることで、BitLockerのパフォーマンスが大幅に向上します。SSDはHDDよりもずっと速く、暗号化にも適しています。

📍関連記事:OSを再インストールせず、HDDからSSDに換装する方法

おまけ:より簡単かつ快適にBitLockerを管理する

BitLockerの管理は初心者には難しいことがあります。多くの手順が必要で、コマンドラインを使うこともあるからです。しかし、AOMEI Partition Assistantという使いやすいツールがあれば、Windowsの暗号化作業を簡単に行えます。このツールは、BitLockerの管理に役立つさまざまな機能を提供しています。具体的には、回復キーのバックアップ、パスワードの変更、ドライブのロック・アンロック、BitLockerの有効化・無効化などができます。

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まずは、AOMEI Partition Assistantをインストールして開き、画面上部のツールバーで「ツール」タブをクリックし、「BitLocker」を選択します。

●BitLockerの有効化・無効化

対象のドライブを見つけて、ソフトウェアで「BitLockerを有効化」または「BitLockerを無効化」を選びます。

●BitLocker回復キーのバックアップ

キーをなくした場合、再取得は難しいです。AOMEI Partition Assistantを使えば、キーをファイルに保存したり、印刷することができます。

📍関連記事:BitLocker回復キーを見つける方法

●BitLockerのパスワード変更

AOMEI Partition Assistantを使って、今のパスワードや回復キーでパスワードを変更できます。

●ドライブのロック・アンロック

ドライブをロックすると、BitLockerボリュームの安全なデータにアクセスできなくなります。機密情報を取り戻すには、パスワードまたは回復キーを使ってドライブをアンロックします。

まとめ

BitLockerは優れたセキュリティツールですが、システムのパフォーマンスに影響を与えることがあります。特に、ハードディスクの種類やCPUの性能などが関係しています。しかし、適切なハードウェアを選び、設定を最適化し、暗号化を見直すことで、BitLockerによるパフォーマンスの低下を抑えることができます。パフォーマンスを改善する方法を実践すれば、セキュリティを保ちながら快適なPC環境を維持できます。AOMEI Partition Assistantを使えば、より簡単かつ快適にBitLockerを管理することができます。