HDDからSSDへの換装のためにクローンをSSDに作成しましたが、クローンしたSSD(クローン先のSSD)が起動しない状態になると非常に焦ります。読み込みや書き込みがスムーズになった自分のパソコンを楽しむ予定だったのに、クローンに成功しても起動しないSSDを目の前にするとやるせない気持ちになります。この記事では、クローンしたSSDが起動しない理由とその対処法をご紹介します。
近年はSSDの性能が向上し、手に入りやすい価格になっているため、SSDが採用されたパソコンが増えてきています。データの処理速度が非常に速く、HDDと比べ高速にデータの読み書きが行えるのがSSDの特徴です。
記憶装置 | メリット | デメリット |
SSD | ✔読み書きの速度が早い ✔衝撃・熱に強い | ✖記憶できる容量が少ない ✖値段が高い |
HDD | ✔記憶できる容量が大きい ✔値段が安め | ✖衝撃や熱、磁気に弱い ✖消費電力が高め |
パソコンのパフォーマンスをアップする時に検討したいのが、起動ドライブをHDDからSSDに換装することです。しかし、いざ換装するとなると「OSを移行できるのか?」「ハードの交換は難しくないか?」など、不安な点も多いでしょう。
アプリケーションを使って、ハードディスクにあったデータのクローンをSSDに作成するのが一番良い方法だと思います。この方法であれば、これまでとまったく同じ環境を引き継ぐことができるので、すぐにパソコンを使うことができます。一般的には、クローンを作るためのアプリケーションを使うので、手間はかからず移行することができます。
👍【最高のSSD OS移行フリーソフト】HDDからSSDに換装・コピー・クローン
事例❶:こちらでSSDのクローン作成方法(フリーソフト)を教えて頂き、無事に新品SSDにクローン作成して起動出来ました。そこで、不要になった元のSSDを別のノートPC用に使おうと思い、同じソフトを使ってノートPCのHDをそのSSDにクローンし、ノートPCに取付けして起動しようとしても、真っ暗な画面の左上にバーが点滅するだけで、起動しません。BIOSではSSD認識してますし、起動もHD優先になっています。どうすればいいでしょうか?
事例❷:クローン作成でクローンSSDを作成したのですが、これを使ってWindows10が起動しません。エクスプローラーでは双方共、同じファイルの構成にはなっています。クローンしたSSDにて起動を試みるとReboot and Select proper Boot device or Insert Boot Media in selected Boot device and press a keyのような画面になり前にすすみません。BIOSで起動ディスクはSSDになっています。
--「教えて!goo」からの質問
上記で述べたように、パソコンに多少詳しい人なら、SSDに換装して読み込みを速くさせたいと思う方も多いでしょう。HDDのデータをSSDにクローンしたのに、起動しないというトラブルに遭遇すると一気にテンションが下がってしまいます。このようにSSDにクローンをした後に起動しない状態になってしまうのか疑問に思うはずです。次はクローン先のSSDが起動しない理由とその対処法をご紹介します。
SSDにクローンした後にWindowsが起動しない場合や、BIOS(UEFI)では認識していますが起動しない場合、以下のような原因が考えられます。
パーティションのクローン(Cドライブのみのクローン)が成功したとしても、ブート領域が無いと起動はしません。ディスク全体のクローンを行わないと、クローン先のディスクからは起動することができません。理由は、ボリュームの先頭に書かれているMBRが正しく作成されていないからです。
ブート領域は、隠しファイルの表示でも確認することはできません。HDDとSSDは同じ容量表示でも僅かに異なります(ブートの容量は数KB程度です)。これが欠落しているなら、英文は「Reboot and Select proper Boot device or Insert Boot Media in selected Boot device and press a key」と言う事です。そのため、クローン操作ではボリューム全体(ディスク全部)をクローンコピーしてください。
BIOS(UEFI)の起動順序が適切に設定されていない場合、クローンしたSSDが正しく起動しないことがあります。理由は、該当のディスクの起動順位が一番上になっていないためです。
PCの電源を入れると、まずBIOSというプログラムが動きます。起動したBIOSは、設定された順位に基づいてデバイスを起動させていきます。この時、クローン後のSSDの順位を一番上に設定しておかないと、正常に起動しない場合があります。
パーティション形式(パーティションスタイル)とブートモードが一致していない場合、クローンしたSSDが正しく起動しないことがあります。なぜなら、パーティション形式には2種類あり、対応するブートモードがそれぞれ異なるためです。
パーティション形式には、MBRとGPTがあります。MBRに対応しているブートモードはLegacy、GPTに対応しているブートモードはUEFIです。例えば、パーティション形式がMBRにもかかわらずUEFIを選択していると、モードが一致せず起動しないという問題が起こります。
👍【徹底解説】MBRとGPTの違い、確認・変換方法、どっちがいい?
システムパーティションがアクティブに設定されていない場合、クローンしたSSDが正しく起動しないことがあります。理由は、OS起動用のディスクはアクティブに設定されている必要があるからです。
※通常、Windowsがインストールされているパーティションが自動でアクティブに設定されています。
最もどうしようもないパターンが初期不良です。しっかりとクローンまでは作業を進めたのに、SSDが認識されない状態になってしまうこともあります。その場合は一度削除して再起動することで治るケースもあるので、いきなり初期不良として対応する必要はありません。
最初は認識されているのかのチェックを行い、そのうえで削除して再起動しましょう。基本的なやり方はWIN7ならばスタートボタンを右クリックして「プロパティ」を選択し、左上にある「デバイスマネージャー」を開きましょう。
その中に、「ディスクドライブ」という項目があるので、そこをクリックして「SSD~」とか「~SSD」という商品名が記載されていればOKです。表示された場合は認識されているので、問題はないでしょう。認識されている方は再起動を行ってみてください。
SSDがクローンをした後に起動しないのは、供給電流不足の可能性があります。実はUSB端子には規格によって供給できる電圧や電流が決まっています。具体的にはUSB2.0だと500mAで、USB3.0だと900mAと400mAもの差があります。最新のUSB3.1では1000mAです。
しかし、ネットブックやミニノートといった存在はやや特殊で供給電流を独自に抑える傾向にあるので、補助ケーブル付きのSSDケースを用意しないと思ったようにクローン後に起動しないというトラブルに巻き込まれる場合があります。
SSDに換装後クローンが起動しない場合、外付けようのケースやキットなどに初期不良が出ている可能性もあるでしょう。そちらのランプが何色になっているのかも確認してください。基本は緑色のランプがどの商品でも点灯するはずなのですが、赤色だったり点灯しない場合は初期不良の可能性もあります。起動しない場合は周りのケーブルや周辺機器も疑って、本当に起動しないのかを再チェックしましょう。
SSDが壊れている
クローン元に不良セクタがある
BitLockerなどでシステムドライブを暗号化している
......
クローン自体は成功していても、起動の優先順位などの設定により新しいSSDが起動しないケースがあります。このような場合は、BIOSなどの各種設定の見直しが必要です。次は、上記のような原因でクローン後にSSDが起動できなくなってしまう問題の解決策について解説します。
クローンしたSSDが起動しない時、まずディスク全部をクローンまたはコピーするか確認してください。もし、ディスク全体のクローンを行わない場合、システムパーティション情報、およびブート情報が作成されていないので、SSD単独では起動できない状態です。こういう時、bcdboot.exeコマンドでbcdboot c:\windows /l ja-JPと入力し、ブート情報をSSDに作成することで問題を解決するか試みてください。またはディスク全体のクローンを作成し直してください。
システム修復ディスクがある場合、Bootrex.exeを利用することができます。システム修復ディスク(CD/DVD-R)をCD/DVDドライブに入れ、BIOSでその起動順序を1番に設定してパソコンを起動した後、「トラブルシューティング」→「コマンドプロンプト」をクリックしてコマンドプロンプトを起動します。「CHKDSK」コマンドでディスクのチェックを行い、結果により復旧もできます。そして「bootrec /fixboot」「bootrec /fixmbr」でSSDを修復することもできます。
システム修復ディスクがない場合、パーティション&ディスク管理ソフト - AOMEI Partition Assistantを使用してブータブルメディアを作成し、そこから起動した後、「MBRを再構築」機能を使用することができます。
👍AOMEI Partition AssistantでMBRをどのように再構築?
👍【修復】Windows 10で「bootrec /fixboot」コマンドがアクセス拒否になる
SSDはGPT形式である場合、必ずブート領域の修復が必要になります。ディスクをクローンする時、起動リストもクローンされますが、実際にOSが入っている番地が変わってしまうことがあります。リストの番地を参照してもその番地にOSがいないので、SSDが起動できなくなってしまうんです。そこで、コマンドを利用して起動リストを更新させ、OSが入っている番地に書き換えることが必要です:
インストールメディア(DVDまたはUSB)からPCを起動し、Shift + F10を押します。コマンドプロンプトで「bootrec /rebuildbcd」と入力し、インストールされているWindowsの一覧が表示されます。「追加しますか」と聞かれたら、Y(はい)かA(すべて追加)を選び、OSの情報を起動リストに書き込みます。「操作は正常に完了しました。」と表示されたら、「exit」と入力し、コンピュータを再起動します。今回Windowsが起動するはずです。
「Cドライブのみ」のようにドライブ単体でのクローンを行うと、「そのディスク上のどの領域から起動するか」といった情報がクローン先に書き込まれないのです。と言う訳で、元のディスクを接続し直し、ディスク全体のクローンとして作成し直してください。
今回は頼もしいクローンソフト「AOMEI Partition Assistant Professional」を選択、その「ディスククローン」機能を使ってHDDからSSDへのクローンを作成しましょう。元のHDDの完全な複製(コピー)を作れるため、クローン後、SSDが起動しない問題を解決するかもしれません。
ステップ 1. クローン先のSSDをパソコンに接続します。AOMEI Partition Assistantをダウンロード、インストール、起動します。メインイ画面でツールバーの「クローン」タブをクリックし、ドロップダウンメニューから「ディスクをクローン」機能を選択します。
ステップ 2. HDDをソースディスクとして選択します。
ステップ 3. SSDをターゲットディスクとして選択します。
クローン処理を実行すると、ターゲットディスク上のすべてのデータとパーティションが削除されるため、重要なデータがあれば、「いいえ」をクリックして、事前に強力なバックアップフリーソフトAOMEI Backupper Standard(無料)でファイル、パーティションまたはディスクをバックアップしておいてください。バックアップを取ったら、「はい」をクリックして次のステップに進みましょう。
ステップ 4. 次には確認画面に移動し、ソースディスクとターゲットディスクを確認します。問題なければ「確認」ボタンをクリックして続行します。
「設定」をクリックし、ターゲットディスク上のパーティションを編集することが可能です。ターゲットディスク上のパーティションのサイズと位置を変更することができます。
ここでは、SSDの性能を高めるために、「4Kアライメント」にチェックを入れてください。
「セクタ単位のクローン」にチェックを入れる場合、「セクタ単位のクローン」を実行します。ソースディスク上の使用済みセクタと未使用セクタをすべてクローンするため、より長い時間がかかります。ターゲットディスクのサイズはソースディスクのサイズに等しいかそれより大きくなければなりません(ソースディスクはMBR形式の場合、ターゲットディスクもMBR形式になっています)。
「セクタ単位のクローン」にチェックを入れない場合、「ディスクの高速クローン」を実行します。ソースディスク上の使用済み領域だけをクローンするため、大容量のソースディスクを小容量のターゲットディスクにクローンすることができます(ターゲットディスクの空き容量はソースディスクの使用済み容量より大きいか等しい必要があります)。クローン中にターゲットディスク上の各パーティションのサイズを調整することができます。ここでは「ディスクの高速クローン」を推奨します。
ステップ 5. 最後にメインインターフェイスに戻り、「適用」⇒「続行」をクリックします。
クローンが完了したら、HDDを取り外してSSDを取り付けます。クローンしたSSDから起動できるように、BIOS設定画面に入って起動順位を変更する必要があるかもしれません。
BIOSで起動順位を設定する場合は、以下の手順を実行してください。
ステップ 1. PCの電源を入れます。
ステップ 2. 電源投入後のロゴ画面で「Del」または「F2」を何度か押して「BIOS settings」に入ります。
ステップ 3. BIOSが起動したら、「Boot」タブをクリックして「1st Boot Device」項目のところをSSDの名前に変更、SSDから優先的に起動するように設定します。
ステップ 4. 最後にF10キーを押すことで、今回の変更を保存してBIOSを終了させます。
BIOSが閉じた後、すぐに通常通りにWindowsの起動が始まります。
このように、BIOS(UEFI)での起動順位を変更すると問題が解決する可能性があります。 起動順位の設定が適切でないとクローンしたSSDが起動しない場合があるので、一度確認してみると良いでしょう。
間違ったモードでブートすると、クローンしたSSDの起動に失敗するかもしれません。上述のように、UEFIブートモードには、GPT形式ドライブが必要ですが、レガシーBIOSには、MBR形式ドライブが必要です。クローン元のHDDはMBRディスク(Legacy BIOS)ですが、クローンしたSSDがGPTドライブ(UEFI)の場合は、SSDから起動できるように、Legacy BIOSをUEFIブートモードに変更する必要があります。
ブートモードの変更方法は以下のとおりです。
ステップ 1. PCの電源を入れます。
ステップ 2. メーカーロゴが表示されたら、BIOS起動キー(「F2」キーなど、メーカーによって異なります)を押します。
ステップ 3. 「Boot」タブなどから、ブートモードを変更します。
👍Windows11/10/8/7でLegacy BIOSをUEFIブートモードに変更する方法
このように、BIOS(UEFI)にてブートモードを変更すると問題が解決する可能性があります。
SSDを購入してパソコンに接続した場合、SSD内部のフォーマットが必要になります。この時に「パーティションスタイルはどうしますか」というような質問をされます。そこで、GPTを選択すると、MBRのパソコンではクローン換装をしても、SSDが起動しない状態になります。こういうことが発生することに備えて、クローン先としてのSSDをMBR形式にフォーマットしたほうがいいです。
AOMEI Partition Assistantがデータを失うことなく、ブートディスクをMBRからGPTに、またはGPTからMBRに変換することができます。ここでは、例としてGPTディスクをMBRディスクに変換しましょう。
ステップ 1. AOMEI Partition Assistantを開き、SSDを右クリックして「MBRディスクに変換」を選択します。
ステップ 2. 操作を確認するウィンドウがポップアップしたら、「はい」をクリックします。
ステップ 3. 最後に「適用」をクリックします。
👍データを失うことなくMBRディスクからGPTディスクに変換
MBR形式への変換が完了した後、クローンしたSSDからWindows7/8/10/11が起動できるか確認しましょう。
SSDのブート(システム)パーティションがアクティブ状態ではない場合は、以下の方法でシステムパーティションをアクティブにする必要があります。
ステップ 1. クローン元のHDDからPCを起動します。
ステップ 2. クローン先のSSDは外付けで接続します。
ステップ 3. 起動後、「Windows」キーと「R」キーを押します。
ステップ 4. 表示されたボックスに「diskpart」と入力します。
ステップ 5. 表示されたウインドウに「list disk」と入力し、「Enter」キーを押します。
ステップ 6. 「select disk ○ (○はSSDのディスク番号です)」と入力し、「Enter」キーを押します。
ステップ 7. 「list partition」と入力し、「Enter」キーを押します。
ステップ 8. 「select partition □ (□はSSDのシステムパーティション番号です)」と入力し、「Enter」キーを押します。
ステップ 9. 「active」と入力し、「Enter」キーを押します。
完了後、PCを再起動します。
このように、システムパーティションがアクティブに設定されていない場合は、上記の設定を変更することで問題が解決する可能性があります。
環境によっては、コピーしたM.2(SSD)から起動しようとすると自動修復画面となり起動できないケースがあります。自動修復画面になる場合は、下記の手順で起動できる場合もあるのでお試しください。
ステップ 1. 自動修復画面で「詳細オプション」をクリックします。
ステップ 2. オプションの選択画面で、「トラブルシューティング」をクリックします。
ステップ 3. トラベルシューティング画面で、「詳細オプション」をクリックします。
ステップ 4. スタートアップ設定画面で、「再起動」をクリックします。
ステップ 5. セーフモードを有効にしたいので、「 F4 」 キーを押します。
ステップ 6. セーフモードで起動します。
ステップ 7. ステップ6でセーフモードで起動した後に、再起動を行いOSが起動するか確認します。
▶ブータブルメディアを作成してクローンを行う
▶スタートアップ修復を行う
▶ドライブから回復する
▶他のケーブルにつなぎ直してみる
▶SSDを他のPCに接続してみる
▶DiskPartのcleanを行う
▶SSDを交換する
▶サポートへ依頼する
......
「備えあれば憂いなし」という諺があります。クローン後のSSDが起動しないことを防ぐために、Windows 7/8/10/11をクローンするためのクローン前準備は以下です。
SSDに換装とクローンはネット上で公開されている情報を見ながらやれば、パソコンに慣れていないような方でもほぼ実行可能でしょう。しかし、クローンをした後に起動しないとか、SSDがうまく認識されないとか、クローンそのものがうまくいかないなどのトラブルが発生したときに対応ができなくなる可能性が非常に大きいので、実行するかどうかは慎重に判断したほうがいいでしょう。万が一、クローンしたSSDが起動しないことにあったら、この記事で紹介した方法で解決してみましょう。
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