仮想ディスクとは?仕組み・メリット・作成方法をわかりやすく解説
最近、データの管理やシステムの運用を効率よくするために「仮想ディスク(Virtual Disk)」がよく使われるようになっています。仮想ディスクは、実際の物理ディスクを使わずに、ソフトウェアで作ったり管理したりできるディスクイメージのことです。バックアップやテスト環境の作成、ファイルの共有など、いろいろな用途で使われています。この記事では、仮想ディスクの基本的な仕組みや利点、さらにWindows環境での作り方について、初心者にもわかりやすく説明します。
仮想ディスクについて
パソコンを使っていると「仮想ディスク(Virtual Disk)」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。 特にWindows 10やWindows 11では、VHD(Virtual Hard Disk)やVHDXと呼ばれる形式で、 物理ディスクを使わずに「仮想的なハードディスク」を作成できる機能が標準搭載されています。
仮想ディスクとは何か
仮想ディスクとは、実際に物理的なハードディスク(HDDやSSD)を分割して使うのではなく、 ソフトウェア的に作られた仮想のドライブのことを指します。
例えば、1つのPCにCドライブしかない場合でも、 仮想ディスクを作成すれば「Dドライブ」「Eドライブ」のように追加ディスクを作ることができます。 ただし、これはあくまでファイルとして存在する仮想ディスクであり、 実際のハードウェアが増えるわけではありません。
仮想ディスクは、.vhdや.vhdxという拡張子を持つ1つのファイルとして保存され、 中にはパーティション、ファイルシステム(NTFSやFAT32など)、データが格納されます。 そのため、仮想ディスクをマウント(接続)すると、 通常のドライブと同じように「ファイルの保存・コピー・削除」が可能になります。
たとえば、テスト用に安全な環境を作りたいとき、 物理ディスクを増設する代わりに仮想ディスクを作ることで、 環境構築がスピーディーかつ柔軟に行えるというわけです。
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物理ディスクは、HDDやSSDといった実体のある記憶装置です。 一方、仮想ディスクは「.vhd」や「.vhdx」ファイルとして既存のストレージ上に作られます。 そのため、実体がないのに、あたかも実際のドライブのように動作するというのが最大の特徴です。
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物理ディスクでは、フォーマットやパーティション変更を行うとデータが失われるリスクがありますが、 仮想ディスクなら、バックアップや複製が簡単です。 また、不要になればそのファイルを削除するだけで済みます。
仮想ディスクの一般的な用途
仮想ディスクは色々な場面で使われます。代表的な例をいくつか挙げます。
- バックアップディスクとして使用 → システム全体のイメージを仮想ディスクに保存し、トラブル時に復元できる。
- テスト環境の構築 → 新しいソフトウェアやドライバーを安全に試すための隔離環境として利用できる。
- データの暗号化保存 → VHDファイル自体にパスワードをかけて、機密データの保護に活用。
- 仮想マシン(Virtual Machine)のストレージ → Hyper-VやVirtualBoxなどの仮想化ソフトが内部で使うディスクイメージとして利用。
このように、仮想ディスクは単なる仮のディスクではなく、 現代のストレージ運用において重要な役割を担っているのです。
仮想ディスクの仕組み
では、仮想ディスクはどのような仕組みで動作しているのでしょうか? その基本となるのが、VHD(Virtual Hard Disk)およびVHDXというファイル形式です。
▌VHD / VHDXとは?
● VHD(Virtual Hard Disk)は、Microsoftが開発した仮想ディスク形式で、 Windows 7以降のOSで標準対応しています。
● VHDXは、VHDの後継バージョンで、Windows 8以降で使用可能。 VHDXでは、最大容量が2TBから64TBに拡張され、 パフォーマンスや信頼性も大幅に向上しました。
| 項目 | VHD | VHDX |
|---|---|---|
| 最大容量 | 2TB | 64TB |
| 耐障害性 | 弱い | 強化されている |
| パフォーマンス | 標準 | 高速化 |
| サポートOS | Windows 7以降 | Windows 8以降 |
▌仮想マシンと仮想ディスクの関係
仮想マシン(Virtual Machine、VM)は、 1台のパソコンの中に複数の仮想PCを構築する技術です。 そして、仮想マシンが動作する際に使うストレージこそが「仮想ディスク」なのです。
たとえば、Hyper-VやVMwareなどの仮想化ソフトでは、 各仮想マシンに専用のVHDXファイルを割り当て、 その中にOSやアプリ、ユーザーデータを格納します。
つまり、仮想ディスクは「仮想PCのハードディスク」として機能するわけです。
▌ファイルとして保存されるディスク構造
仮想ディスクは、物理的には1つのファイル(例:C:\Virtual\test.vhdx)です。 しかしWindows上では、それをマウント(接続)すると「Dドライブ」「Eドライブ」として認識されます。
内部構造は通常のディスクと同じで、 パーティション、ブートセクタ、ファイルシステムが存在します。 つまり、「ファイルの中にもう1つのディスクがある」というイメージです。
この設計により、仮想ディスクを簡単にコピー・圧縮・共有できるようになっています。 USBやクラウドストレージに保存すれば、どのPCでもすぐに同じディスクを再利用できます。
仮想ディスクのメリットとデメリット
仮想ディスクには、データ共有の簡便性、物理ドライブの不要化、効率的なディスク管理、コスト削減といったメリットがある一方で、データ消失のリスク、ディスク容量の減少、システム全体のパフォーマンス低下の可能性といったデメリットもあります。
Windowsで仮想ディスクを作成する方法
Windows 10/11には、仮想ディスク作成機能が標準搭載されています。つまり、特別なソフトを使わなくても、数クリックでVHDやVHDXファイルを作ることができるのです。ここでは、Windows標準の「ディスクの管理」を使った方法、便利なサードパーティソフトAOMEI Partition Assistantで作成する方法を順に紹介します。
方法1. ディスクの管理で仮想ディスクを作成する
Windowsで仮想ディスクを作成するには、「ディスクの管理」ツールから「VHDの作成」メニューを選択する方法が一般的です。この方法では、作成する仮想ハードディスク(.vhdまたは.vhdx)の場所、サイズ、フォーマットの種類(容量可変または容量固定)を指定して、物理ディスクと同じように使用できる仮想ディスクファイルを作成できます。
ステップ 1. デスクトップの「PC」を右クリックし、「管理」を選択します。「ディスクの管理」をクリックします。
ステップ 2. 「操作」メニューを開き、「VHDの作成」をクリックします。
ステップ 3. 「仮想ハードディスクの作成と接続」ダイアログが表示されます。「参照」ボタンをクリックして、作成するVHDファイルの保存場所を指定します。仮想ディスクのサイズを入力します。「VHD」または「VHDX」、「容量可変」または「容量固定」を選択します。
ステップ 4. 「OK」をクリックすると、指定した場所に仮想ディスクファイルが作成されます。
ステップ 5. 「ディスクの管理」の画面に、新しいディスクが追加されていることを確認します。
追加されたディスクを右クリックして「ディスクの初期化」を行い、さらに「新しいシンプルボリューム」ウィザードに従ってボリュームを作成し、ドライブ文字を割り当てます。これで仮想ディスクが使用可能になります。
方法2. AOMEI Partition Assistantで簡単に仮想ディスクを作成する
AOMEI Partition Assistantは、初心者から上級者まで幅広く使われている人気のディスク管理ソフトです。仮想ディスクの作成・マウント・削除がワンクリックででき、Windows標準機能よりもはるかに操作が簡単です。
AOMEI Partition Assistantは、仮想ディスクを簡単に作成・管理できるだけでなく、PCのディスク管理全般を支援する多機能ツールです。以下のような便利な機能も備わっています。
- パーティションの分割・結合・拡張:物理ディスクや仮想ディスクの領域を自在に調整できます。Cドライブの空き容量が不足した場合でも、ほかのドライブから空き領域を再配分してシステムを安定化させることが可能です。
- ディスククローン:仮想ディスクだけでなく、物理ディスクのコピーやOS移行にも対応しています。HDDからSSDへの換装や、新しいPCへの引っ越しもスムーズに行えます。
- MBRとGPTの変換:Windows 11へのアップグレード時に必要となるGPTディスク形式への変換も、データを消さずにワンクリックで完了できます。
- ディスクのエラーチェックと最適化:仮想ディスクや実際のディスクでエラーが発生した場合でも、AOMEI Partition Assistantのチェック機能を使えば修復や最適化が可能です。
ここで、AOMEI Partition Assistantで簡単に仮想ディスクを作成する手順を紹介します。
ステップ 1. AOMEI Partition Assistantをダウンロードしてインストールします。「仮想ディスク」タブをクリックした後、「VHDの作成」オプションを選択します。
ステップ 2. 仮想ディスクの場所とサイズを指定できます。「参照」をクリックして、VHDを作成する場所を選択します。仮想ディスクのファイル名を入力し、「保存」をクリックしてください。
オプションで、「詳細設定」オプションをクリックして、仮想ハードディスクのフォーマットと種類を設定することもできます。(デフォルトでは、VHDX形式と「可変容量」タイプが選択されています。)
ステップ 3. 仮想ディスクの場所とサイズを設定したら、「OK」をクリックしてVHDの作成を開始します。
ステップ 4. リロードプロセスが完了すると、VHDが正常に作成されたことが表示されます。VHDは自動的に接続されます。
仮想ディスクをアンマウントする場合、接続されたVHDを右クリックし、「VHDの切断」オプションを選択して切断できます。
仮想ディスクの安全な管理方法
仮想ディスクは非常に便利なツールですが、 扱い方を誤るとデータ損失や破損のリスクもあります。 ここでは、安全に運用するための3つの基本対策を紹介します。
1. バックアップを定期的に取る
VHDXファイルは通常のファイルとしてバックアップできます。 クラウド(OneDrive、Google Driveなど)や外付けHDDに定期コピーしておくと安心です。
特に業務用データやシステムバックアップを保存している場合は、 1週間に1度のバックアップを推奨します。
2. 誤削除・破損対策
仮想ディスクは削除=中身の全データ喪失です。 そのため、ファイル操作時には誤クリックを防ぐ工夫が必要です。
- VHDXファイルを専用フォルダにまとめる
- 書き込み禁止属性を設定する
- 重要な仮想ディスクは読み取り専用モードで開く
3. 暗号化・パスワード保護を設定する
機密情報を保存する場合は、BitLockerなどの暗号化を必ず行いましょう。 パスワード認証付きにすれば、第三者によるアクセスを完全に遮断できます。また、AOMEI Partition Assistantのような高機能ツールでは、Home版でも暗号化可能です。
まとめ
仮想ディスクは、現代のPC環境で欠かせない機能です。 物理ディスクの制限を超え、データの柔軟な管理・保護・共有を実現します。この記事で紹介したように、AOMEI Partition Assistantを使えば仮想ディスクを簡単に管理できます。 初心者でも安心してストレージを効率化できます。
よくある質問
1. 仮想ディスクと仮想マシンの違いは?
仮想ディスク(VHD/VHDX)は「仮想的なハードディスク」であり、 仮想マシン(VM)は「仮想的なコンピューター全体」です。 仮想マシンの中で、仮想ディスクがストレージとして利用されます。
2. 仮想ディスクは無料で作成できる?
はい。Windows 10/11には「ディスクの管理」機能が標準搭載されており、 無料でVHD/VHDXを作成できます。 より高機能に管理したい場合は、AOMEI Partition Assistantがおすすめです。
3. 仮想ドライブは何のために使うのですか?
仮想ドライブは、CD/DVDなどのディスクイメージファイル(ISOなど)を、物理的なドライブがなくても、まるでドライブが内蔵されているかのように読み込むために使います。これには、物理ドライブがないPCでディスクを使えるようにする、バッテリー消費を抑える、複数のディスクデータを簡単に切り替えられるようにする、といったメリットがあります。