MBR修復コマンドの使い方と手順|Windowsでの修復方法を徹底解説
MBRの破損でPCが起動しない?本記事では、MBR修復コマンドの詳細な使い方を説明。MBRの基本的な概念から、実際の修復手順、さらにエラー発生時の対処法までを詳しく解説。
パソコンが起動しない、エラーメッセージが出るとき、MBR(マスターブートレコード)が原因かもしれません。特に、MBRが壊れると、OSが正しく起動しなくなることがあります。この記事では、MBR修復コマンドの使い方を詳しく説明し、手順に従って問題を解決できるようにします。
MBRとは?MBRが壊れる主な原因を解説
MBR(マスターブートレコード)は、ハードディスクやSSDの最初の部分にあるマスターブートレコードのことです。これは、コンピュータを起動するために必要な情報を保存しています。ここに問題が起こると、「Operating System Not Found」や「BOOTMGR is missing」といったエラーメッセージが表示され、OSが起動できなくなります。
以下に、MBRが壊れる主な原因をいくつか挙げてみましょう。
1. 不適切なシャットダウンや電源の切断
突然の電源切れやシステムの強制終了は、MBRのデータに悪影響を及ぼすことがあります。特に、OSがディスクにデータを書き込んでいる最中に電源が切れると、MBRなどの重要なシステムデータが壊れることがあります。
症状:起動時に「Operating System Not Found」や「BOOTMGR is missing」などのエラーメッセージが表示されます。
2. ウイルスやマルウェア
悪意のあるソフトウェア(ウイルスやトロイの木馬など)がMBRを狙うことがあります。特に、MBRを改ざんして起動を妨げる「MBRローダーウイルス」や「ブートキット」がよく知られています。これにより、MBRのデータが変更されたり、損傷することがあります。
症状:PCが起動しない、異常な動作を繰り返す、予期しないエラーメッセージが表示されます。
3. ハードディスクやSSDの物理的な故障
ディスクに物理的なダメージがあると、MBRの一部が読み取れなかったり、書き込めなかったりすることがあります。これはヘッドクラッシュやセクタ不良が原因です。特に古いハードディスクやSSD、または頻繁に使用されるドライブでは、こうした故障が起こりやすいです。
症状:パソコンが起動しない、ハードディスクから異音がする、読み込み速度が非常に遅くなります。
4. ディスクパーティションの変更や誤操作
パーティションを間違って削除したり、変更したりすると、MBRが壊れることがあります。
症状:OSが起動しない、パーティションが消えた、ディスクが認識されません。
5. ブートセクタの破損
MBRには、オペレーティングシステムを起動するための「ブートセクタ」が含まれています。このブートセクタが壊れると、コンピュータは起動できなくなります。特に、OSのインストールやアップデート中にエラーが起こると、この部分が損なわれることがあります。
症状:PCが起動しない、エラーメッセージ(例:BOOTMGR is missing)が表示されます。
6. 不完全なOSのインストールまたは再インストール
オペレーティングシステムのインストールや再インストール中にエラーが起こると、MBRが正しく設定されないことがあります。例えば、インストール中にデータの書き込みが不完全だったり、途中でインストールが止まった場合です。
症状:OSのインストールが終わらない、ブートエラーが発生します。
7. 多重ブート環境の問題
複数のOSをインストールしている多重ブート環境では、ブートローダー(WindowsのブートマネージャやGRUBなど)がMBRの設定に影響を及ぼすことがあります。特に、異なるOSのブート設定を変更すると、MBRが壊れることがあります。
症状:OS選択画面が表示されない、特定のOSが起動しません。
8. BIOS設定の変更やUEFIへの切り替え
MBRは、古いBIOS(Basic Input/Output System)ベースのシステムで使用されますが、UEFI(Unified Extensible Firmware Interface)に切り替えると、MBRではなくGPT(GUID Partition Table)を使用する必要があります。UEFIに切り替える際に、MBRとGPTの混在が原因でブートエラーが発生することがあります。
症状:PCが起動しない、OSが見つかりません。
9. ソフトウェアのエラーや問題
特定のソフトウェアやドライバーのエラーによって、MBRが壊れることがあります。例えば、ディスク管理ツールやバックアップソフトが誤ってMBRを上書きすることがあります。
症状:予期しないエラーメッセージ、PCが起動しません。
MBR修復コマンドとは何ですか?コマンドの詳しい情報
MBR修復コマンドは、Windowsの回復環境で使えるコマンドで、壊れたMBRを直すために使います。一般的に「bootrec」というツールがよく利用されます。
主なMBR修復コマンド:
bootrec /fixmbr
MBRを修復するための基本的なコマンドです。これにより、壊れたMBRを上書きし、システムを正常に起動できるようにします。
bootrec /rebuildbcd
ブート構成データ(BCD)を再構築するコマンドです。MBRが修復された後に使用することが多いです。
bootrec /fixboot
起動に関連するブートセクタを修復するためのコマンドです。
MBR修復コマンドを実行する具体的な方法
MBR修復コマンドを使うには、以下の手順を行います。まず、Windowsの回復環境に入る必要があります。
ステップ 1. PCを起動し、Windowsのロゴが見えたらすぐに電源ボタンを長押しして強制的にシャットダウンします。この操作を2~3回繰り返すと、自動修復が始まります。
ステップ 2. 「オプションの選択」画面が出たら、「トラブルシューティング」を選びます。次に「詳細オプション」を選び、「コマンドプロンプト」を選択します。
ステップ 3. コマンドプロンプトが開いたら、以下のコマンドを入力します。
bootrec /fixmbr(このコマンドは、MBRを修復してシステムを正常に起動できるようにします。)
ステップ 4. 次に、以下のコマンドを実行します。
bootrec /fixboot(ブートセクタを修復し、起動の問題を解決します。)
ステップ 5. 最後に、BCD(ブート構成データ)の再構築を行います。
bootrec /rebuildbcd(BCDに問題がある場合、これを再構築することで、起動に必要な情報を復元できます。)
コマンドが正常に実行されると、「操作が完了しました」と表示されます。再起動を実行し、PCが正常に起動するか確認してください。
コマンド実行後のエラーへの対処法
ここで、コマンド実行後、よくあるエラーとその対処法を紹介します。
1. 「bootrec /fixmbr」実行時にエラーが発生した場合
「bootrec /fixmbr」を実行してもエラーが発生した場合、いくつかの原因が考えられます。主に、MBRが物理的に壊れている、または他の修復ツールが必要な場合です。
エラーメッセージ例:
「The operation completed successfully(正常に完了しました)」以外のメッセージが表示される場合。
「Element not found(要素が見つかりません)」。
対処法:
ディスクの状態を確認:chkdskコマンドを使ってディスクの不良セクタやエラーをチェックします。コマンドプロンプトで以下を入力して実行します。
chkdsk C: /f /r
これにより、ディスクのエラーが修復される場合があります。
►ディスクパーティションの確認:「bootrec /fixmbr」コマンドは、指定されたパーティションに対して修復を試みます。パーティションが正しく設定されているか、または他のパーティションが影響を与えていないかを確認します。
diskpart
list disk
select disk 0
list partition
►MBRの手動修復:fixmbrコマンドが正常に実行されない場合、bootrecツールがMPT(Master Partition Table)を誤って検出している可能性があります。場合によっては、ディスクの初期化やフォーマットを行うことが求められることもありますが、データが失われる可能性があるため、最終手段として利用します。
2. 「bootrec /fixboot」の実行後にエラーが発生した場合
「bootrec /fixboot」を実行した際に、以下のようなエラーが表示されることがあります。
エラーメッセージ例:
「Access is denied(アクセスが拒否されました)」
「The system cannot find the path specified(指定されたパスが見つかりません)」
対処法:
►セキュアブートの無効化:UEFI環境でのセキュアブート設定が影響を与えている可能性があります。PCのBIOS設定にアクセスし、セキュアブートを無効にしてから再度コマンドを実行してみてください。
ステップ 1. PCを再起動し、BIOSまたはUEFIにアクセス(通常はF2またはDELキー)します。
ステップ 2. セキュアブートオプションを「Disabled」に設定します。
ステップ 3. 設定を保存して再起動します。
►ブートパーティションの手動修復:エラーメッセージが表示される場合、ブートパーティションに問題がある可能性があります。コマンドプロンプトでdiskpartコマンドを使用してブートパーティションを手動で設定します。
diskpart
list disk
select disk 0
list partition
select partition 1 # 通常、EFIパーティションが選択されます
active
exit
►再フォーマットと再インストール:どうしても修復ができない場合、最終手段として、OSを再インストールするか、ブートパーティションを再作成する方法もあります。
3. 「bootrec /rebuildbcd」の実行後にエラーが発生した場合
「bootrec /rebuildbcd」は、Windowsブート構成データ(BCD)を再構築するコマンドです。このコマンドを実行しても解決しない場合、BCDが深刻に壊れている可能性があります。
エラーメッセージ例:
「The requested system device cannot be found(要求されたシステムデバイスが見つかりません)」
「Total identified Windows installations: 0(Windowsインストールが見つかりません)」
対処法:
►手動でBCDを再構築:以下の手順を使ってBCDを手動で修復します。
ステップ 1. コマンドプロンプトを開き、以下のコマンドを入力します。
bcdboot C:\Windows /s C: /f ALL
これにより、BCDファイルが正しいパーティションにコピーされ、再構築されます。
►ディスクの検査:bootrec /rebuildbcdがうまくいかない場合、ディスクの健康状態に問題があることが考えられます。chkdskでディスクのエラーを修正するか、他の修復ツールを使用して問題を解決します。
►ディスクのクリーンインストール:もし問題が解決しない場合、OSをクリーンインストールする方法も考えられます。再インストール時に「パーティションの削除」を選ぶことで、BCDファイルが再作成されます。
4. 「bootrec /rebuildbcd」で「Error: 0x000000f」エラーが発生した場合
このエラーは、ブート構成データ(BCD)やWindowsインストールが破損している場合に発生します。以下の対処法を試してみてください。
エラーメッセージ例:
「Error: 0x000000f(ブート構成が正しくない)」
対処法:
►BCDの手動修復:bcdeditコマンドを使って手動でBCDを修復することができます。まず、コマンドプロンプトを開いて以下を実行します。
bcdedit /export C:\BCD_Backup
attrib C:\boot\bcd -h -r -s
del C:\boot\bcd
bootrec /rebuildbcd
►Windowsインストールの修復:もしBCD修復で解決しない場合、Windowsインストールメディアを使用してOSを修復する方法もあります。インストールメディアから起動し、「修復」オプションを選択して、システムの修復を試みます。
5. 「bootrec /rebuildbcd」で「The system cannot find the path specified」エラーが発生した場合
このエラーは、bcdbootが指定したパスにアクセスできない場合に発生します。通常、ディスクのパーティション設定や、ブートセクタが正しくない場合に発生します。
対処法:
►パーティションの設定を確認:diskpartコマンドでパーティションの設定を確認し、正しいパーティションが選択されているか、ブートパーティションがアクティブであるかを確認します。
►ブートマネージャを手動で修復:上記の方法で解決しない場合、最終的にブートマネージャを手動で修復することが求められる場合があります。
「bootrec」コマンドを使用した修復作業は、多くの場合に有効ですが、特定のエラーが発生した場合、他の方法を試す必要があります。ディスクの検査や手動でのBCD修復、さらにはWindowsの再インストールを行うことで、多くのトラブルを解決できます。
おまけ:便利で一括修復する専門のブート修復ツール
Windowsのコマンドに自信がない方や、修復が難しいと感じる方には、専門のブート修復ツールを使うのが良い選択です。AOMEI Partition Assistantは、簡単に使える「ブート修復」機能を持つ強力なディスク管理ツールです。数回のクリックでMBRの問題を簡単に解決できます。ブートの問題を解消し、システムを正常に戻すことができます。初心者から上級者まで幅広く利用可能です。
ステップ 1. 8GB以上のUSBメモリを用意します。別の動作中のPCにAOMEI Partition Assistantをインストールして起動します。メイン画面で「復元」タブを選び、「ブート修復」をクリックします。
ステップ 2. ポップアップウィンドウで「ブータブルディスクを作成」を選択し、ブート修復ディスクを作成します。
ステップ 3. 起動できないPCを作成したブート修復ディスク(USB)で起動します。ブート修復ツールが自動的に読み込まれ、スキャンが始まり、修復可能なブートエントリが表示されます。
- 「詳細オプション」をクリックして、修復されたブートエントリを保存する場所を選択します。
- 現在のディスクに修復:システムは現在のディスクから起動し、ブートファイルが完全で正常に動作するように修復します。(デフォルト)
- 別のディスクに修復:この操作は、システムが選択したディスクから起動できるように、システムブートエントリーを修復または新規作成します。
ステップ 4. 修復したいエントリを選んで「修復」をクリックし、ブート修復を開始します。修復が完了するまで待ちます。修復が成功した場合、「修復に成功しました」というメッセージが表示されます。
まとめ
PCが起動しない問題を解決するためには、MBR修復が効果的な場合があります。本記事では、MBR修復コマンドを使った手順を詳しく説明し、トラブルシューティングにも触れています。これにより、MBRの修復が必要な場面でも自信を持って対処できるようになります。正しいコマンドの使い方を学び、PCの安定した動作を取り戻しましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1:MBR修復コマンドを実行した後、PCが正常に起動しない場合はどうすればよいですか?
A1:もし「bootrec /fixmbr」や「bootrec /rebuildbcd」を実行してもPCが起動しない場合、次のことを確認してください:
- ディスクの状態:ハードディスクやSSDが壊れていないか確認します。不良セクタがある場合、データ復旧ツールや専門の修理サービスが必要かもしれません。
- ブート順序:BIOSまたはUEFIの設定で、起動ドライブが正しく選ばれているか確認します。
- 再インストール:上記の方法で解決しない場合は、Windowsを再インストールするか、バックアップから復元することを考えてください。
Q2:MBRとGPTの違いは何ですか?
A2:MBR(マスターブートレコード)は古い形式で、最大2TBのディスク容量をサポートします。対して、GPT(GUIDパーティションテーブル)はMBRの後継で、最大9.4ZB(ゼタバイト)まで対応しています。GPTはUEFIシステムに適しており、パーティション数の制限も緩和されています。
Q3:「bootrec /rebuildbcd」コマンドを実行しても解決しない場合は?
A3:「bootrec /rebuildbcd」で解決しない場合、次の手順を試してください:
- bootrec /fixboot:ブートセクタを修復する可能性があります。
- bootrec /fixmbr:MBRが壊れている場合に修復を試みます。
- ディスクチェック:「chkdsk /f /r」でディスクのエラーを確認し、修正します。
- BCDBootツール:BCDが壊れている場合、「bcdboot c:\windows /s c:」でBCDを再構築できます。
Q4:MBRを修復する前にバックアップは必要ですか?
A4:はい、MBRを修復する前に重要なデータのバックアップを取ることをお勧めします。
特にディスクの構造に関わる作業をする場合、トラブルに備えてバックアップを取ることが非常に大切です。バックアップをすることで、データ損失やシステムの問題に対するリスクを減らすことができます。