回復パーティションがない場合はどうなる?復旧方法と作成手順を解説

回復パーティションがない場合、Windowsの復旧ができなくなる可能性があります。本記事では、回復パーティションの役割や確認方法、復旧方法を詳しく解説します。

投稿者 @カオル 2025年03月31日 @カオル 最後の更新 2025年03月31日

パソコンのトラブル時に、システムを修復するための「回復パーティション」は非常に重要な役割を果たします。しかし、いざ修復が必要になった際に「回復パーティションがない」と気づくことがあります。では、回復パーティションがないとどのような影響があるのでしょうか?また、どのように復旧すればよいのでしょうか?

本記事では、回復パーティションの役割や確認方法、消失する原因、そして作成・復旧する方法について詳しく解説します。

回復パーティションとは?役割を解説

回復パーティションとは?

回復パーティションとは、Windowsの回復環境(Windows Recovery Environment, 略称:Windows RE)を格納している専用の隠し領域のことです。通常、パソコンのハードディスク(HDD)やSSD内に存在し、Windowsのインストール時に自動的に作成されます。

回復パーティションは、「PCが正常に起動しない」「システムファイルが破損した」などのトラブル発生時に、修復やリカバリーを行うための重要な機能を担っています。

回復パーティションの役割

回復パーティションには、以下のような重要な役割があります。

① システム回復オプションを提供

回復パーティションが存在することで、Windowsの「回復オプション」メニューを利用できます。例えば、次のような機能が含まれています。

  • スタートアップ修復(Windowsが起動しない場合に自動修復を試みる)
  • システムの復元(過去の正常な状態に戻す)
  • コマンドプロンプトの使用(高度なトラブルシューティングが可能)
  • セーフモード起動(最低限の環境でWindowsを起動し、原因を特定)

⇒ これらの機能は、回復パーティションがあることで簡単に利用できます。

② Windowsの「このPCを初期状態に戻す」機能を実行

Windowsには、システムを初期状態に戻す「リセット機能」があります。回復パーティションがある場合、次の2つのオプションが利用可能になります:

  1. ✅ 個人ファイルを保持してWindowsをリセットする
  2. ✅ すべてのデータを削除してWindowsをリセットする

⇒ 回復パーティションがないと、この機能が正常に動作しない可能性があります。

③ システムイメージからの復元をサポート

回復パーティションには、システムを復元するための基本的なファイルが含まれています。これにより、あらかじめ作成したシステムイメージを使用して、Windowsを正常な状態に戻すことが可能です。

例えば、「Windowsが起動しない」「システムファイルが破損した」といった場合に、システムイメージを使ってWindowsを修復できるため、再インストールの手間を省けます。

⇒ システムクラッシュ時の復旧をスムーズにするために重要な役割を持っています。

④ Windowsの自動修復機能をサポート

Windowsには、起動時にシステムの問題を自動的に修復する「自動修復」機能があります。この機能は、回復パーティションに保存されているWindows REを利用するため、回復パーティションがないと自動修復が動作しない可能性があります。

⇒ システムが正常に起動しなくなった際、回復パーティションがあることで自動修復が機能し、問題を解決できることがあります。

回復パーティションの容量と特徴

回復パーティションは、通常100MB~1GB程度のサイズで、Windowsのバージョンによって異なります。

Windowsバージョン 回復パーティションのサイズ
Windows 7 約100MB
Windows 8 / 8.1 約300MB
Windows 10 約500MB
Windows 11 約600MB~1GB

また、回復パーティションは通常「隠しパーティション」として設定されており、エクスプローラーには表示されません。そのため、知らず知らずのうちに削除されてしまうことがあります。

回復パーティションは、Windowsの修復やリカバリー機能を提供する非常に重要な領域です!

回復パーティションを確認する方法

回復パーティションがPCに存在するかどうかを確認する方法はいくつかあります。ここでは、Windowsの標準機能を使った確認方法を紹介します。

方法1:ディスクの管理ツールで確認する

Windowsの「ディスクの管理」を使うと、回復パーティションの有無を視覚的に確認できます。

ステップ 1. Windowsキー + Rを押して「ファイル名を指定して実行」を開きます。「diskmgmt.msc」と入力し、Enterキーを押します。

ステップ 2. 「ディスクの管理」画面が開いたら、上部にCドライブなどのパーティションが表示されます。その中に「回復パーティション」と表示された小さな領域があるか確認します。

ステップ 3. 「回復パーティション」 と表示されていれば、回復パーティションが存在します。もし回復パーティションが見つからない場合は、削除されている可能性があります。

ヒント回復パーティションは通常 「100MB〜1GB」 程度のサイズで、OSによって異なります。ディスクの管理では、回復パーティションの詳細(ファイルの内容)は確認できません。

方法2:コマンドプロンプト(diskpart)で確認する

「ディスクの管理」では詳細が見えない場合、コマンドプロンプトのdiskpartコマンドを使うことで、より詳しく確認できます。

ステップ 1. 「Windowsキー+Rキー」を押し、「diskpart」と入力し、「Enter」キーを押してDiskpartユーティリティを開きます。

ステップ 2. 次のコマンドを入力し、Enterキーを押します。ここで、「回復パーティション」と表示された領域があるか確認します。回復パーティションが存在する場合、回復またはRecoveryと表示されます。

list disk

select disk X(OSがインストールされているディスクを選択)

list partition(パーティションの一覧を表示)

回復パーティションがなくなる原因

回復パーティションが消失する原因はいくつか考えられます。以下に、代表的な原因を詳しく解説します。

1. Windowsのクリーンインストールやアップグレード

Windowsを再インストールしたり、新しいバージョンへアップグレードした際に、回復パーティションが削除されることがあります。

具体的なケース:
Windowsをインストールする際、「すべてのパーティションを削除」してしまうと、回復パーティションも消えます。
大型アップデート後、以前の回復パーティションが不要と判断され、新しい回復パーティションが作られることがあります。このとき、元の回復パーティションが削除されることがあります。

2. ディスクのパーティション変更・再構成

パーティションを変更したり、Cドライブを拡張した際に、回復パーティションが削除されることがあります。

具体的なケース:
回復パーティションがCドライブの直後にあると、Cドライブを拡張する際に削除しないと操作できないことがあります。
パーティションを整理する際、不要だと思い回復パーティションを削除してしまうことがあります。

3. 誤操作や意図しない削除

ユーザーの操作ミスや、不要なパーティションだと思い削除してしまうこともあります。

具体的なケース:
回復パーティションが「未割り当て領域」として見えるため、不要だと思い「ディスクの管理」で手動で削除してしまうことがあります。
コマンドプロンプトのdiskpartを使い、意図せず「delete partition」コマンドを実行すると、回復パーティションが削除されます。

4. ウイルスやマルウェアによる影響

ウイルス感染や悪意のあるマルウェアにより、回復パーティションが破損・削除されることがあります。

具体的なケース:
マルウェアがブート領域を改変し、回復パーティションが壊れることがあります。
不正なソフトウェアを使うことで、誤って回復パーティションが削除されることがあります。

回復パーティションがない場合の影響

回復パーティションがないと、Windowsのトラブル発生時にさまざまな影響を受ける可能性があります。ここでは、具体的な影響について詳しく解説します。

1. Windowsの「回復オプション」が使えなくなる

回復パーティションには、Windowsの回復環境(Windows RE)が含まれています。この領域がないと、「回復オプション」を利用できなくなる場合があります。

具体的な影響:
設定 > 更新とセキュリティ > 回復 から「このPCを初期状態に戻す」を選択しても、回復パーティションがないとエラーが発生することがあります。
Windowsが正常に起動しない場合、通常は「スタートアップ修復」を実行できますが、回復パーティションがないと利用できない可能性があります。

2. Windowsが起動しなくなった際の修復が難しくなる

通常、Windowsが起動できなくなった場合、回復パーティションから回復環境を起動し、修復を試みることができます。しかし、回復パーティションがない場合は、外部の回復メディアがないと修復できません。

具体的な影響:
Windowsの起動トラブル時、「自動修復」が実行されますが、回復パーティションがないと起動しません。
通常、Windows回復環境からコマンドプロンプトを開き、bootrecコマンドなどで修復できますが、回復パーティションがないとこの方法も使えません。

3. Windowsの「セーフモード」にアクセスできない

回復パーティションがないと、回復環境経由でのセーフモード起動ができない可能性があります。

具体的な影響:
通常は「詳細オプション」>「スタートアップ設定」>「セーフモード」を選択できますが、回復パーティションがないとこの手順が利用できません。
セーフモードは、ドライバーの競合や不具合を診断する際に有効ですが、回復パーティションがないとアクセスしにくくなります。

4. Windows Update後に問題が発生しやすくなる

Windowsの大型アップデート(Feature Update)では、回復パーティションを使用してシステムの更新や修復を行うことがあります。回復パーティションがない場合、更新時にエラーが発生することがあります。

具体的な影響:
アップデート中に「Windowsのインストールに問題が発生しました」と表示されることがあります。
更新後に起動しなくなるリスクが高まります。

5. Windowsのリカバリー機能が使えない

Windowsには「工場出荷状態に戻す」機能がありますが、回復パーティションがないとこのオプションを使用できないことがあります。

具体的な影響:
「PCをリフレッシュする」または「PCをリセットする」が利用不可になります。
メーカー製PCの場合、リカバリー領域が削除されると元の状態に戻せないことがあります。

回復パーティションを作成(復旧)する方法

回復パーティションがない場合、手動で作成(復旧)することが可能です。

方法1:Windowsの回復環境(WinRE)を有効にする

Windowsの回復環境(WinRE)が無効になっているだけの場合、コマンドを使用して簡単に再有効化できます。

ステップ 1. 「スタート」ボタンを右クリックし、「コマンドプロンプト(管理者)」を選択します。

ステップ 2. 現在の回復環境の状態を確認するために、以下のコマンドを入力し、Enterキーを押します。「Windows RE 状態: 無効」と表示されている場合、回復環境が無効になっています。

reagentc /info

ステップ 3. 以下のコマンドを入力して、回復環境を有効化します。

reagentc /enable

ステップ 4. PCを再起動し、「設定」>「システム」>「回復」から「回復オプション」が表示されているか確認してください。既存の回復パーティションが削除されていなければ、この方法で回復環境が復旧できます。この方法で解決しない場合は、回復パーティション自体が削除されている可能性があるため、次の方法で新しく作成してください。

方法2:回復パーティションを新しく作成する

回復パーティションが完全に削除されている場合、新しく回復パーティションを作成し、Windowsの回復環境を復旧する必要があります。

ステップ 1. まずはディスクの空き領域を確保します。回復パーティションを作成するには、500MB~1GB程度の未割り当て領域が必要です。「スタート」ボタンを右クリックし、「ディスクの管理」を開きます。

ステップ 2. Cドライブの後ろに「未割り当て領域」があるか確認します。もし未割り当て領域がない場合は、「Cドライブを縮小」して500MB以上の空き領域を確保してください。

ステップ 3. 「スタート」ボタンを右クリックし、「コマンドプロンプト(管理者)」を選択します。「diskpart」と入力してdiskpartを起動します。

ステップ 4. 次のコマンドを入力し、Enterキーを押します。

list disk

select disk 0(回復パーティションを作成するディスク、通常はDisk 0を選択)

list partition

create partition primary size=1000(1000MB=1GBのパーティションを作成)

set id=27(回復パーティションとして設定)

format fs=ntfs quick

exit

ステップ 5. 「スタート」>「設定」>「更新&セキュリティ」>「詳細スタートアップ」>の「回復」をクリックし、「今すぐ再起動する」をクリックします。

ステップ 6. 回復環境に入ったら「トラブルシューティング」>「詳細オプション」>「コマンドプロンプト」を選択してください。

ステップ 7. 回復環境を回復パーティションに適用するには、次のコマンドを入力し、Enterキーを押します。「操作は正常に完了しました。」と表示されれば成功です。

reagentc /setreimage /path R:\Recovery\WindowsRE

reagentc /enable

ステップ 8. PCを再起動し、「設定」>「システム」>「回復」から、「回復オプション」が正常に動作するか確認してください。

方法3:Windows回復ドライブを作成して代用する(推奨)

回復パーティションを手動で作成するのが難しい場合は、USB回復ドライブを作成して代用する方法がおすすめです。USB回復ドライブがあれば、回復パーティションがなくてもWindowsを修復したり、システムを復元したりすることが可能です。AOMEI Partition Assistantは優れた回復ドライブ作成ツールです。このツールは、多くのコマンドを入力する必要がなく、マウスのクリックだけで作成できます。

無料ダウンロードWin 11/10/8.1/8/7対応
安全かつ快適
Windows Serverユーザーであれば、Server版を使用することをおすすめします。

ステップ 1. USBをパソコンに接続して、AOMEI Partition Assistantをインストールして起動します。「ツール」>「ブータブルCD/USBを作成」をクリックします。

ステップ 2. 「USBブートデバイス」のドロップダウンメニューにUSBドライブを選択して「続行」をクリックします。

ステップ 3. 次に、USBがフォーマットされるため、重要なデータをバックアップしてくださいと表示されます。完了したら、「はい」をクリックしてください。

ステップ 4. そして、「はい」をクリックしUSBの作成が開始します。数分がかかるので、少々お待ちください。

まとめ

回復パーティションは、Windowsのトラブル発生時に重要な役割を果たします。削除やシステム変更によって消えることもあるため、事前に確認し、必要なら手動で復旧する方法を知っておくことが重要です。もし回復パーティションを作成するのが難しい場合は、USB回復ドライブを作成することで対応できます。万が一のトラブルに備えて、適切な準備をしておきましょう。