Windows10の回復パーティションはCドライブのすぐ右に作成されている場合、Cドライブの拡張の邪魔になっているかもしれません。Cドライブを拡張するために、その回復パーティションを他の場所に移動したいですが、Windows10の「ディスクの管理」でパーティション移動の機能を持っていません。この記事では、AOMEI Partition Assistantというパーティション管理ソフトで回復パーティションを安全に移動する方法についてご紹介します。
Windowsをインストールすると、ストレージ(HDD/SSDなど)に回復パーティションが作成されたり、Windowsのアップグレードを繰り返していると、回復パーティションが複数できたりします。例えば、Windows10にアップグレードした後、Cドライブの後ろに450MBの回復パーティションが作成されていることに気づく人は多いでしょう。では、この回復パーティションとは何なのでしょうか?
Windows10をGPTディスク(未使用領域)にインストールすることによって作成された回復パーティションのほか、レノボ(Lenovo)やデル(Dell)などのコンピュータ製造元によって作成された回復パーティション(OEMパーティションとも呼ばれる)もあります。
「回復パーティション(英語表記:Recovery Partition)とは、パソコンを出荷時や特定の状態に戻すバックアップデータと、元に戻すプログラムが保存された専用のパーティションのことです。通常、日常のデータ保存には使わず、パソコンを回復パーティションから起動することで、リカバリー作業が行えます。ハードディスクの空きを増やしたい場合には、内容をDVDなどに移した「回復ディスク/回復ドライブ」を作ることで、回復パーティションを削除できる場合があります。」––出典:(株)朝日新聞出版発行
具体的には回復パーティションは、「Windows回復環境(WinRE)」というプログラム、WindowsをPC出荷時に戻すための「イメージデータ」などを保存するパーティションです。
WinRE(winre.wim)のみを保存する回復パーティションの場合、500MB程度のパーティションであることが多いです。このパーティションは、Windows7以降で使用されます。Windowsを修復するときに使用される起動イメージが保存されています。そのイメージを起動すると、ベーシックデータパーティションにあるWindowsシステムを修復する方法の複数の選択肢を試すことができます。※WinREは、回復パーティションの中の「\Recovery\GUID」(Windows8)または「\Recovery\WindowsRE」(Windows8.1/10)というフォルダに保存されています。
WindowsをPC出荷時に戻すためのイメージデータを保存する回復パーティションの場合、パーティションのサイズは各PCメーカーの各機種ごとに大きく異なります。ベーシックデータパーティションにあるWindowsシステムをプリインストールアプリまで含めて工場出荷状態に戻すための全データが保存されています。※Windowsをクリーンインストールした場合は、この種のパーティションは存在しません。回復パーティションにRecoveryフォルダ以外のフォルダがあれば、PC出荷時に戻すためのデータである可能性が高いです。
通常、回復パーティションは、NTFS形式でフォーマットされています。ドライブレターが割り当てられていないため、Windowsの「エクスプローラー」からアクセス(確認)できず、「ディスクの管理」では「ヘルプ」オプションしか利用することができません。また、回復パーティションでは、「DE94BBA4-06D1-4D40-A16A-BFD50179D6AC」という種類IDを使う必要があります。
なぜ、パソコンを長く使っていると、複数の回復パーティションが作られてしまうのでしょうか?
Windows Updateでは、新しいバージョンのWindowsにアップグレードするときに、古いバージョンのWindowsを回復パーティションに保存します。これは、アップグレードに失敗したり、不具合があったりしたときに、元のバージョンに戻すための措置です。
Windows8以降のWindowsが使用する回復パーティションのサイズはだんだん大きくなっています。Windowsをアップグレードするときに、アップグレード前の回復パーティションのサイズがアップグレード後に必要とするサイズ以上の場合は、アップグレード前の既存の回復パーティションが再利用されます。
しかし、アップグレード前の回復パーティションのサイズが、アップグレード後に必要とするサイズより小さい場合、アップグレード中に新たな回復パーティションが作成されます。そして、アップグレード後は、その新たに作成した回復パーティションだけが使用されます。つまり、複数の回復パーティションがあっても、通常、一つは使われ、残りは必要のないものがほとんどです。
アップグレード時に、ストレージ(HDD/SSD)の空き容量不足や既存パーティション構成の影響により、新たな回復パーティションが作成できない(Windows Updateが正常に完了できない)ことがあります。その場合、回復パーティションを拡張するか、不要な回復パーティションを削除する必要があります。さもないと、回復パーティションの代わりに、システムドライブ(C:\)が使われます。
このように、アップグレード前の回復パーティションのサイズが小さすぎる場合、結果として、使われていない回復パーティションができます。
実際に、Windows8.1をクリーンインストールしたあと、Windows10 1703にアップグレードした時は、パーティションの構成は、以下のように変化しました。
▶アップグレード前の回復パーティション:
まず、Windows8.1をインストールした直後のパーティション構成(UEFI BIOS)です。
▶アップグレード後の回復パーティション:
次は、Windows 8.1の環境からWindows10 1703へアップグレード後のパーティション構成(UEFI BIOS)です。
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上記は、アップグレードのときに新たな回復パーティションが作成された時の例です。新たな回復パーティションが作成できなかったときは、Windows回復環境(WinRE)は回復パーティションではなく、システムドライブ(C:\)のパーティションに保存されます。
❶ご存知のように、パーティションのすぐ後ろ(直後)に未割り当て領域がある場合、「ディスクの管理」でそのパーティションを拡張することができます。しかし、Windows10にアップグレードした後、Cドライブのすぐ右に回復パーティションが作成されます。回復パーティションがそこにあれば、「ディスクの管理」の「ボリュームの拡張」でシステムパーティションを拡張することはできません。その場合、回復パーティションをディスクの末尾に移動する必要があります。
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❷回復パーティションがディスクの末尾にあると困る場合があります。例えば、HDD→SSDの換装など容量の小さいディスクへ丸ごとコピーしたいようなときです。コピー元の容量を減らすためにCドライブなどのパーティション縮小をしても、ディスクの末尾に回復パーティションが残ってしまいます。その場合、回復パーティションを他の場所に移動する必要があります。
回復パーティションを削除:回復パーティションの内容(WinRE)を「回復ドライブ」(USBメモリ)に展開してしまってから、回復パーティションを削除してしまう方法です。
回復パーティションを邪魔にならない場所に移動:回復パーティションの中身(WinRE)をCドライブの中へ移動するか、回復パーティションをCドライブより手前のパーティション(またはディスクの末尾)へ移動してしまう方法です。
回復パーティションが重要な役割を果たすため、あった方がいいです。次は、邪魔になる回復パーティションを削除せず、ディスクの末尾または他の場所に移動する方法をご紹介しましょう。
手順 1. Windowsキー+Rキーを押して「ファイル名を指定して実行」ダイアログを開きます。
手順 2. 「名前」入力ボックスに「cmd」と入力し、Shiftキー+Ctrlキーを押しながら「OK」ボタンをクリックします。
手順 3. 「ユーザーアカウント制御」(UAC)のダイアログが表示されたら、「はい」ボタンをクリックしてコマンドプロンプトを管理者権限で起動します。
手順 1. 「reagentc /info」と入力してEnterキーを押します。Windows回復環境(WinRE)の情報が表示されます。※この例では、0番目のディスクの4番目のパーティションの「\Recovery\WindowsRE」というフォルダにWinREがある、という意味です。
これも、使用中の「回復パーティション」を特定する方法です。回復パーティションが2つ以上ある場合、どの回復パーティションが新しいもの(いま使っている回復パーティション)か、古いものかを判断するために必要です。
手順 2. 「reagentc /disable」と入力してEnterキーを押します。回復パーティションにあるWinREを無効化します(つまり、回復パーティションを無効にします)。
手順 1. 「diskpart」と入力してEnterキーを押します。Diskpart.exeを起動・実行します。
手順 2. 「list disk」と入力してEnterキーを押します。PCに接続されているSSD/HDDの一覧が表示されます。
手順 3. 「select disk 0」と入力してEnterキーを押します。OSディスク(システムディスク)を選択します。※0はOSディスクのディスク番号です。
手順 4. 「list partition」と入力してEnterキーを押します。OSディスクのパーティションの一覧が表示されます。
手順 5. 「select partition 1」と入力してEnterキーを押します。Cドライブ(システムドライブ)を選択します。※1はCドライブのパーティション番号です。
手順 6. 「shrink minimum=1250」と入力してEnterキーを押します。※Cドライブを1250MB縮小します。
下記は、新しいWinRE用にパーティションを準備した状態です。
回復パーティションの中にあるWindows回復環境(WinRE)をCドライブなどの中に移動する場合には、「C:\Recovery\WindowsRE」などのフォルダを用意します。
※例えば、Cドライブより手前に用意したパーティション(仮にTドライブという名前)に回復パーティションを移動することにしたら、「T:\Recovery\WindowsRE」というフォルダを用意します。
「xcopy /h R:\Recovery\WindowsRE\winre.wim T:\Recovery\WindowsRE」を実行して、上で用意したパーティション内のフォルダに、回復パーティションの中のWinREをコピーします。Rは回復パーティションに割り当てられるドライブレターです。
次に、「reagentc /setreimage /path T:\Recovery\WindowsRE」を実行して、新しいWinREを有効化します。
新しいパーティションの種類を変更します(Cドライブの中にWinREをコピーした場合は、この作業は不要です)。コピー先のパーティションのドライブレター(この例では「T」)を削除⇒「回復パーティション」用のパーティションIDを設定⇒GPT属性を変更して非表示ドライブに設定します。
最後に古い回復パーティション(Rドライブ)を削除します。
手順 1. 「select partition 4」と入力してEnterキーを押します。現在の回復パーティションを選択します。※4は回復パーティションのパーティション番号です。
手順 2. 「delete partition override」と入力してEnterキーを押します。回復パーティションを削除します。
手順 1. ディスクがGPTの場合は、新しい回復パーティションを作成したり、回復パーティションのための属性を設定するために以下のコマンドを順番に実行します。
create partition primary
format quick fs=ntfs label=Recovery
set id=de94bba4-06d1-4d40-a16a-bfd50179d6ac
gpt attributes=0x8000000000000001
手順 2. 「list vol」と入力してEnterキーを押します。回復パーティション(WinREパーティション)が作成されていることを確認します。
手順 3. 「exit」と入力してEnterキーを押します。diskpartから終了します。
手順 4. 「reagentc /enable」と入力してEnterキーを押します。WinREを再度有効にします(つまり、新しい回復パーティションを有効にします)。
手順 5. 最後は、「reagentc /info」と入力してEnterキーを押します。WinREがインストールされている場所を確認します。
最終状態は以下の通りです。もともとディスクの末尾にあった回復パーティションを丸ごと引っ越しすることができました!
データ損失なしでパーティションを移動するには、サードパーティ製のパーティション管理ソフトAOMEI Partition Assistantを使うことができます。数回のクリックだけでWindows10の回復パーティションの移動を簡単かつ高速に実現することができます。
AOMEI Partition Assistantを使用して回復パーティションを移動するには、未割り当て領域が必要です。ハードディスクに未割り当て領域がない場合、パーティションを削除または縮小して未割り当て領域を作成することができます。
手順 1. AOMEI Partition Assistantをダウンロードし、インストールし、起動します。
手順 2. 拡張するシステムパーティションと未割り当て領域の間に回復パーティションがある場合は、回復パーティションを右クリックして「パーティションをリサイズ/移動」を選択します。
手順 3. パーティション移動の画面で、回復パーティションをクリックして、マウスの左ボタンを押したままの状態で右側へドラッグします。回復パーティションを未割り当て領域の右側に移動させた後「はい」をクリックします。
手順 4. Windows10で回復パーティションを移動した後のディスクの構成情報をプレビューできます。そして、問題がなければ、「適用」をクリックして変更を実行します。
回復パーティション移動 ソフトAOMEI Partition Assistantを使用して未割り当て領域をCドライブのすぐ右に移動させた後、Cドライブを右クリックして「パーティションをリサイズ/移動」を選択することで未割り当て領域をCドライブに追加してシステムドライブを拡張することができます。
手順 1. Cドライブを右クリックして「パーティションをリサイズ/移動」を選択します。
手順 2. Cドライブの右境界線を右にドラッグて「はい」をクリックします。
手順 3. 保留中の操作をプレビューして問題なければ「適用」をクリックします。
Cドライブの一番後ろの位置にできる回復パーティションが邪魔になる場合、Windows10標準搭載ツール「コマンドプロンプト」でCドライブの容量を拡張して回復パーティションを移動することもできます。
Windows REの無効化⇒既存の回復パーティションの削除⇒Cドライブの拡張⇒回復パーティションの作成⇒Windows REの有効化
Cドライブのサイズを縮小する⇒回復パーティションを無効にする⇒回復パーティションを削除する⇒回復パーティションを新規に作成する(Cドライブのサイズを削った分、以前より大きいサイズで作成することができる)⇒回復パーティションを有効にする
万が一のために1つの回復パーティションを維持・保持した方がいいと思います。ディスクの容量を解放するために回復パーティションを削除したい場合、まずは回復パーティションをUSBメモリに移動してから、削除することができます。PC上の回復パーティションをUSBメモリに移動するには、USB回復ドライブを作成することができます。
Windows10には「回復ドライブの作成」機能が標準搭載されています。Windows10でUSB回復ドライブを作成して回復パーティションを削除する方法は以下の通りです:
手順 1. 「スタート」ボタンの横にある検索ボックスに「回復ドライブの作成」と入力し、検索結果の一覧から「回復ドライブの作成」を選択します。
手順 2. ツールが開いたら、「システム ファイルを回復ドライブにバックアップします」が選択されていることを確認して、「次へ」を選択します。
手順 3. USBドライブをPCに接続し、そのドライブを選択して、「次へ」を選択します。
手順 4. 「作成」を選択します。回復ドライブには多数のファイルをコピーする必要があるため、しばらく時間がかかる場合があります。
手順 5. 回復ドライブの作成が終了したら、Windowsの回復パーティションを削除するオプションが与えられます。回復ツールと起動可能なイメージが含まれる回復ドライブを作成したので、「回復パーティションを削除します」 リンクをクリックして「削除」を選ぶことで回復パーティションを安全に削除することができます。
回復パーティションには、バックアップデータやプログラムが保存されているから、Windowsが起動しなくなったり、問題が発生したりしたときに、システムを再インストールすることなく回復パーティションから初期状態に戻す(復元する)か、Windowsを修復することが可能です。しかし、この回復パーティションはCドライブの拡張の邪魔になっている場合があります。
この記事では、回復パーティションを移動する2つの方法(コマンドプロンプト&AOMEI Partition Assistant)についてご紹介しました。コマンドプロンプトを利用して回復パーティションを移動するために、回復パーティションを無効化・削除してから新規に作成・有効化する必要があるのでデータ損失が発生しますが、サードパーティソフトを利用して、データを失うことなく、回復パーティションを直接移動することが可能です。
そのほか、邪魔になる回復パーティションを移動した後、Cドライブを拡張する方法や回復パーティションを拡張する方法、回復パーティションをUSBに移動する方法などについてもご紹介しました。
誰でも簡単に使えるAOMEI Partition Assistantには、数回のマウスクリックだけで回復パーティションを移動して未割り当て領域をCドライブに追加するための「パーティションのリサイズ/移動」機能だけでなく、「ブータブルCD/USBの作成」「SSD/HDDへのOS移行」「ハードディスクの消去」「アプリ引っ越し」「MBR形式とGPT形式間でのディスク変換」など、高度な機能をたくさん備えています。例えば、回復パーティションはパーティションの拡張の邪魔になった場合、「パーティションを結合」機能を使用してCドライブと未割り当て領域を直接結合するすることもできます。