Diskpartでパーティションを強制的に削除する方法
HDDやSSDのパーティションを削除したい時には、「ディスクの管理」からパーティションを削除しようとしますが、「回復パーティション」や「EFIシステムパーティション」などは「ディスクの管理」では削除することができません。そんなときには、Diskpartコマンドを利用すると、パーティションを強制削除することができるので、その方法を解説します。
パーティションについて
パーティションとは?
コンピュータ上のハードディスクを複数の独立した区画に分割すること、および分割された区画のことをパーティションといいます。
コンピュータのハードディスクのパーティション(英:Partition)とは、ハードディスクの記憶領域を論理的に分割すること、あるいは分割された個々の領域を指す。パーティションを作成することをパーティショニング (英:Partitioning) ともいう。
-出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
パーティション、ドライブ、ボリュームの違い
パーティションと似た用語として「ドライブ」と「ボリューム」もあります。
- 平屋の間取り図でストレージを説明してみる:
- この間取図(青枠で囲った四角)を平屋の1フロアだと思ってください。
- この青枠の四角がHDD/SSDである「ディスク」です。※「ディスク」は平屋で例えると、外壁に当たります。
- 保存領域である「パーティション」は、平屋の内壁に当たります。※「パーティション」は内壁なので、外壁である「ディスク」以上の大きさは作れません。
- 保存領域の名前である「ボリューム」は平屋の部屋(名)に当たります。※101号室は、実際のパソコン上では、「Cドライブ」に該当します。
- 下図のように、1フロアだった領域が2つに分かれました。部屋も同じように2部屋になりました。※実際のパソコン上では、「Cドライブ」と「Dドライブ」がある状態です。
- ポイント:
- ボリュームとはパーティションの中に作成された領域のことを指します。
- ドライブ文字(ドライブ名)とは、CドライブやDドライブなど、パーティションで区切られたドライブごとに割り当てられる1文字のアルファベットのことです。AからZまでのアルファベットが使用できます。
- ドライブとボリュームはほとんど同じ意味で使われ、区別するのが非常に難しいです。ドライブはボリュームを利用するための装置と考えるとよいかと思います。すなわちCドライブやDドライブが入れ物で、ボリュームは中身です。ボリュームにはCドライブやDドライブを通してアクセスします。
ほとんどの場合には、「パーティション」=「ドライブ」=「ボリューム」です。しかし、ダイナミックディスクでは、複数のパーティションが1つのボリューム(ドライブ)として扱われ、パーティションとボリュームが一致しない場合があります。
また、ベーシックディスクでは、1つの拡張パーティション内に複数の倫理ドライブ(ボリューム)が作成され、パーティションとボリュームが一致しない場合もあります。
「ディスクの管理」で削除できないパーティション
通常のパーティションであれば、「ディスクの管理」を起動し、削除したいパーティションを右クリックし、「ボリュームの削除(D)…」で削除することができますが、「ディスクの管理」では削除できないパーティションがあります。
Cドライブ(システムドライブ)
Cドライブは、Windowsがインストールされているシステムドライブです。Cドライブの空き容量が少なくなると、システムが不安定になったり、動作が遅くなったりする場合があります。
🔎Windows11/10/8/7でCドライブ容量を増やす方法
Officeなどのアプリは、通常はCドライブにインストールされます。「デスクトップ」「ドキュメント」「ピクチャ」「ビデオ」「ミュージック」などのフォルダも、Cドライブに保存されています。Cドライブは重要な役割を担っています。
❌「Cドライブ」の「ディスクの管理」の右クリックメニューには「ボリュームの削除(D)…」がグレー表示されてしまうので、選択ができないという状態になります。
EFIシステムパーティション(システムで予約済みパーティション)
GUIDパーティションテーブル(GPT)形式でフォーマット(初期化)されたHDD・SSDにWindows OSまたはMac OSをインストールする時にEFIシステムパーティション(ESP)が自動で作成されます。
ESPには他のパーティションにインストールされている全てのOSのブートローダーまたは起動時にファームウェアが使用するデバイスドライバ、OSが起動する前に実行されるシステムユーティリティプログラム、エラーログなどのデータファイルが含まれています。
❌Cドライブ同様、「EFIシステムパーティション」の「ディスクの管理」の右クリックメニューには「ボリュームの削除(D)…」がグレー表示されてしまうので、選択ができないという状態になります。
回復パーティション(OEMパーティション)
回復パーティションはシステムディスクの上にある特殊なパーティションです。通常、日常のデータ保存に使わず、パソコンを工場出荷時や特定の状態に戻すためのデータを保存しています。パソコンを回復パーティションから起動することで、リカバリー作業が行えます。
- 回復パーティションには2種類ある:
- 1つは、Windows回復環境(WinRE)を保存するパーティションで、WindowsをGPTディスクにインストールすることによって作成されます。通常、Windowsの回復パーティションには、オペレーティングシステム(OS)しか含まれていないため、数百MBのディスク領域を占有します。例えば、Windows10の回復パーティションは450MBだけが必要で、Windows8または7ならもっと少ないです。
- もう1つは、出荷前にDell、HP、Lenovoのようなコンピュータ製造元によって作成、プリインストールされ、通常はOEMパーティションとしてマークされます。特定のキー(通常にHPならF9で、DellならF12です)を押すことで、OS、ドライバ、ビルトインアプリケーションを含む工場出荷時のデフォルト設定にコンピュータを復元できます。この回復パーティションは、Windowsの回復ーティションよりも多くの領域を必要とします。
❌「回復パーティション」の「ディスクの管理」の右クリックメニューには「ヘルプ(H)」しか無いので、何も操作ができないという状態になります。
結論
元々パソコンに内蔵されていたハードディスクなどを外付けHDDとして使う場合に、不要なパーティションを削除しようとしても、「ディスクの管理」から「Cドライブ」「回復パーティション」や「EFIシステムパーティション」などは削除できないこともあります。
このような場合には、コマンドプロンプトでDiskpartコマンドを実行することにより、簡単に削除することができます。
Diskpartでパーティションを強制的に削除
「ディスクの管理」でパーティションを削除できないケースでは、Diskpartというコマンドが使われることがあります。以下の2通りの対策方法があります。
-
対策方②:Diskpartコマンドを利用して「ディスク内データを丸ごと」全消去する(※ディスク内のパーティションも同時に削除されます。)
- 注意:
- USBメモリーや外付けハードディスクなど他のデバイスは可能な限り、パソコンから取り外しておきます。
- Windowsを起動した状態のままDiskpartを利用しても、起動ドライブ、Cドライブ(ブートパーティション)の削除はできないようになっています。Windows OS上で「EFIシステムパーティション」も削除できない場合があります。
- EFIシステムパーティションや起動ドライブ、Cドライブを削除したい場合、Windows PE(Windowsプレインストール環境)やWindows RE(Windows回復環境)のコマンドプロンプトからDiskpartを実行することができます。
- 現在稼働中のパーティション(またはディスク)に対しては、削除を実行しないことをオススメします。どうしても削除したい場合は、ターゲットとなるドライブを別のパソコンに接続して(セカンドドライブとして)、削除をDiskpartで実行することをオススメします。
- パーティションを削除すると、すべてのデータが削除されるので、事前に重要なデータをバックアップすることをオススメします。
Diskpartとは?(CUI:コマンドプロンプト画面)
「ディスクの管理」から操作できない部分の削除や変更などができるのが、今回紹介する「Diskpart」コマンドです。
「Diskpart」コマンドとは、Windowsに標準で搭載されている機能のひとつで、コマンドと呼ばれる命令文を用いて、ディスクの操作を行うシステムツールです。「ディスクの管理」では削除できないパーティションを削除することや、割り当てられているドライブ文字を削除して非表示にするなどの操作を行うことができます。
ディスク操作に関する広範な操作ができて便利な反面、操作を間違えると、最悪の場合システムファイルを削除してしまい、Windowsが起動しなくなるなどの不具合が発生する恐れもあります。そのため、とくに操作対象のディスクやパーティションを選択する際には絶対に選択先を間違わないように慎重に確実に操作する必要があります。
- ポイント:
- ディスクを管理するためのCUI ツール
- OSが起動したドライブは消去対象にはできない
- USB接続のドライブやリムーバブル・ストレージデバイスでも作業は可能である
特定のパーティションのみを削除する手順
実はクローン作成時に、このような「ディスクの管理」では削除や確認ができないパーティションが存在していると、多くの場合にクローン作成失敗の一因となるようです。クローン失敗の際の原因究明や再度のクローン作業の手間などを考えれば、diskpartを使って不要なパーティションを事前に削除することは大きな手間ではないと思うので、クローンを作成する際にはぜひ事前にこの作業をすることをお勧めします。
手順 1. キーボードのWindowsキー+Rキーで「ファイル名を指定して実行」を開き、「diskpart」と入力してOKをクリックします。
手順 2. 「list disk」と入力してEnterキーを押します。
手順 3. 操作したいHDD・SSDのディスク番号をしっかりと確認し、「select disk n」と入力してEnterキーを押します。
手順 4. 「ディスクnが選択されました」と表示されたら、次は「list partition」と入力してEnterキーを押します。
手順 5. 「select partition m」と入力してEnterキーを押します。
手順 6. 「パーティション2が選択されました」と表示されたのを確認し、「delete partition override」と入力してEnterキーを押します。
- ポイント:
- 通常、コマンドの「delete partition」だけでは、既知のデータパーティションだけを削除できますが、パラメータの「override」は、パーティションの種類にかかわらず、すべてのパーティションを削除できるため、間違いをなくするためには削除するパーティションの要チェックは必須だろう。
- ちなみに、「delete partition」のように「override」をつけない場合は、「仮想ディスクサービスエラー:force protectedパラメーターを設定しないと、保護されたパーティションは削除できません。」が表示され、パーティションを削除することができません。パーティションを削除する場合は「override」を付けて実行する必要があります。
手順 7. 「diskpartは選択されたパーティションを正常に削除しました」と表示されればパーティション削除は成功です。diskpartのウィンドウを閉じて終了します。
「ディスクの管理」にてパーティションが正常に削除されたか確認します。
ディスクの全内容を消去する手順
MBRやGPTの情報を規定している領域の削除、「ディスクの管理」からでは削除できないパーティションの削除、また、HDDやSSDのクローン作成を最初からやり直す時や自作パソコンでOSをインストールする時にこの方法を使うことがあります。
ハードディスクの全情報の削除になるため、操作は慎重に行う必要があります。例として以下のディスク1のデータを全消去します。
手順 1. キーボードのWindowsキー+Rキーで「ファイル名を指定して実行」を開き、「diskpart」と入力してOKをクリックします。
手順 2. 「list disk」と入力してEnterキーを押します。
手順 3. 今回は「ディスク1」内のデータを丸ごと全消去したいので、「select disk 1」と入力してEnterキーを押します。
手順 4. ディスク1が正しく選択されたかの確認のため、もう一度「list disk」と入力してEnterキーを押します。
手順 5. データを全消去したいディスクの左に「*」マークが付いていることを確認し、問題無ければ、「clean」と入力してEnterキーを押します。
手順 6. ディスク内データが全消去されました。「exit」と入力してEnterキーを押し、diskpartを終了します。もう一度「exit」と入力してEnterキーを押し、コマンドプロンプトを閉じれば終了です。
再度「ディスクの管理」を開いて確認すると、ディスク1内のパーティションやMBR・GPTなどすべての情報が消去され、全域が「未割り当て」(「初期化されていません」になり、フォーマット前の状態のこと)となっていることが分かります。この状態にできれば、あとは「ディスクの管理」から初期化・フォーマットをしてデータ保存用のディスクとして使用するなり、未割り当ての状態でクローンディスク作成に使用するなり、不要なデータが入っていないきれいなディスクとして自由に取り扱うことができます。
AOMEI Partition Assistantでパーティションを簡単に削除
Diskpartの代わりになるパーティション管理フリーソフト(GUI)
Diskpartは、キーボードだけで操作する画面インターフェース(CUI:Character User Interface)」で、「コマンド」と呼ばれる命令文を入力して処理を実行するので、ミスを犯しやすくなりますし、間違って実行したコマンドを取り消す方法もありません。
コマンドプロンプトが複雑で使えないと思うパソコン初心者は、優れたソフトディスクパーティション管理フリーソフトAOMEI Partition Assistant Standardをお勧めします。
グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)で「回復パーティション」や「EFIシステムパーティション」など「ディスクの管理」画面から削除できない特殊なパーティションを削除することができます。
また、ブータブルCD/USBを作成してWindows PE(Windowsプレインストール環境)でEFIシステムパーティションや起動ドライブ、Cドライブを削除することができます。
さらに、有料版では「パーティションを消去」「全てのパーティションを削除」「ハードディスクを消去」「SSDの完全消去」など、より強力な機能も使用可能です。
AOMEI Partition Assistant Standardでパーティションを削除する手順
以下では、内蔵HDDのCドライブを削除することを例としますが、Cドライブを削除すると、Windowsシステムが起動できなくなるので要注意です。
手順 1. AOMEI Partition Assistant Standardを無料でダウンロード、インストール、起動します。削除したいパーティションを右クリックして、「パーティションを削除」を選択します。
手順 2. パーティションの削除方法を選択し、「はい」をクリックします。
手順 3. メイン画面に戻り、「適用」⇒「続行」をクリックし、保留中の削除操作を実行します。
Diskpartパーティション削除に関するよくある質問
Q:ディスクパーティションを削除する必要性は何ですか?
A:ディスクパーティションを削除する理由はいくつかあります。スペースを解放して新しいパーティションを作成したり、不要なデータを削除するために使用することができます。また、システムの再構築やデータの整理にも役立ちます。
Q:ディスクパーティションを削除する前に注意すべきことは何ですか?
A:ディスクパーティションを削除する前に、重要なデータのバックアップを取ることが重要です。誤って削除するとデータが失われる可能性があるため、慎重に操作することが必要です。
Q:diskpartを使用してパーティションを削除する方法は何ですか?
A:パーティションを削除するには、Windowsコマンドプロンプトでdiskpartを開き、次の手順を実行します。
- 「list disk」を入力して、ディスク情報一覧を表示します。
- 「select disk<ディスク番号>」を入力して、削除したいパーティションを含むディスクを選択します。
- 「list partition」を入力して、削除したいパーティションを特定します。
- 「select partition<パーティション番号>」を入力して、削除したいパーティションを選択します。
- 「delete partition override」を入力して、選択したパーティションを削除します。
Q:「override」を使用する理由は何ですか?
A:「override」オプションを使用すると、確認プロンプトをスキップしてパーティションを即座に削除することができます。ただし、このコマンドを使用する際には慎重に行動し、重要なデータがないことを確認してください。
Q:パーティションの削除はデータ喪失を意味しますか?
A:はい、パーティションを削除すると、そのパーティション内のデータは完全に消去されます。再度アクセスできなくなるので、事前にデータのバックアップを取ることをお勧めします。
Q:パーティション削除後、ディスク領域を再利用する方法は何ですか?
A:パーティションを削除した後、新しいパーティションを作成してディスク領域を再利用することができます。「create partition primary」コマンドを実行して新しいパーティションを作成し、必要に応じてフォーマットして使用することができます。
Q:パーティション削除に失敗した場合、どうすれば良いですか?
A:パーティション削除に失敗した場合、データの喪失を回避するために専門家に相談することをお勧めします。また、データ復旧ソフトAOMEI Partition Assistantも、失われたデータを回復するための方法を提供しています。
まとめ
換装などで未使用になるために、これまで使用していたHDD(ハード・ディスク・ドライブ)やSSD(ソリッド・ステート・ドライブ)をGUI(通常のグラフィック画面)でフォーマットする際に、ディスク内にある不要なパーティションを削除しようとしても削除することができないことがあります。
通常はWindowsの「ディスクの管理」からパーティションを削除することができますが、「回復パーティション」や「EFIシステムパーティション」などは削除できないようになっています。そこで今回は「ディスクの管理」から削除することができないパーティションを、同じくWindowsの標準機能である「diskpart」コマンドを使って削除する方法についてご紹介しました。
「diskpart」コマンドは、「ディスクの管理」で削除できないパーティションを削除することができ、非常に便利です。しかし、パーティションの削除は危険な作業ですので、慎重に行うことが必要です。list diskやlist partitionといった確認コマンド、select diskやselect partitionといった選択コマンドを使い、確実に対象のパーティションを選択しましょう。
Diskpartでパーティションを削除することに失敗した場合や、コマンドプロンプトはあまり使ったことがない場合、Diskpartの代わりに無料パーティション管理ツールAOMEI Partition Assistant Standardを使用することができます。
AOMEI Partition Assistant Professionalにアップグレードしたあと、ハードディスクの空き容量を増やすために、「アプリ引っ越し」「大容量ファイルを削除」「PCクリーナー」「重複ファイルファインダー」などの機能を使用したり、ダイナミックディスクをベーシックディスクに変換、MBRディスクからGPTディスクに変換したりすることができます。
Windows Server 2012/2016/2019/2022(R2を含む)を実行している方は、AOMEI Partition Assistant Serverを試して、より高度な機能をお楽しみください。